日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食文化と食品添加物考

第三回 「ペクチン」

スーパーマーケットにある大きく、形の良い林檎たち!どこかでテレビ番組の題に使われていたのを思い出した。大体日本人は、大好きな刺身のように、生で食べることばかり、林檎もそうだ。ほんの少し前まで、酸っぱいけれど味わい深い紅玉が沢山あったのに、今では料理に使おうと思っても探すのに苦労してしまう。風味探求の品種改良の凄さを実感している。

 

Apples

 

私の記憶の中では、この林檎の海外での思い出が沢山ある。

日本と何故こんなに違うのだろうか?西欧の有名な美術館には、沢山の林檎が描かれている。イギリスのロンドンの各家庭の庭を覗いてみると、林檎の木がすぐに目につく。ホームスティするまで、そんなに気に止めなかったのに、驚きだった。

友人のアンと共に、イギリスの有名な貴族ハットフィールド家の館を見学に行った時の事、一本の木が目に止まった。日本では見た事も無い小さな林檎が実もたわわになっていた。どうぜ、観賞用だと高を括っていた。とにかく、色鮮やかで、紅色だけが際立っていた。何故か、実は美味しそうには感じなかった。ところが、アンは途端にこの林檎を無心にも取り始めた。大体、人の屋敷の庭の林檎を取って、この人どうかしているのではないかと疑いのまなざしである。事実、アンは、ハットフィールド家の遠い親族であり借家人であり、親の代から、石の古い家に数百年の間、住んでいるので、平気なのだった。

子供の頃、塀越に果物が成っていると、自然に手を出したのは、誰だったかしら?
とにかく、人は誰もいない、女二人、無心に林檎をもいだ。当然の心理、ひとつ、食べてやるか!綺麗だから、洗わなくて良い。一口、口の中に入れたら、強烈な酸味と堅さに、吐き出してしまった。「喜代子、何故食べたの?」アンが不思議がって、私の顔を見た。これはクッキングしないと食べれないと教えてくれた。最初から、言ってくれればいいのに、まったく!イヤ、実験したのだから、良い。

その時、アンは、この林檎ジャムを作ると最高の味で、この林檎の今は、overripeでなくて、ちょうど良い時期のripen、中身のペクチンによって、上手にできると教えてくれた。彼女は、私が食品添加物を仕事にしている事を知っているのに、いやに高説を語ってくれた。

読者の皆さんもペクチンというと、すぐにジャムを思い出されるだろう。このジャムという料理、果物や野菜を加えて、煮詰める、独特のトロミを持たせた加工食品である。この果物や野菜に大量の砂糖を加えて、煮詰めると徐々にトロミが付いてくるのは、これらの植物の細胞壁や、細胞間質の中のペクチンが存在しているからである。このペクチン、本来は、細胞の硬さを調整したり、細胞を保持したりするのが大事な働きであるが、未熟な状態の果物ではこのペクチン、プロトペクチンという状態で、水にも溶けず、ジャムの材料にもならない。それが、果物が、徐々に熟していくと、酵素によって、ガラクトースの誘導体の鎖が切られて、熱湯に溶けて、大量の砂糖と、強酸の存在の元で、ゼリー状の網目構造を作る性質を持っていて、あのコッテリとしたジャムができる。

このペクチンの基源は、柑橘類、りんごなどから、水で抽出してできたのだった。
何故、添加物?アンの話ではないが、程よい状態に熟した果物を使用しなければ、品質の良いジャムを作れない訳で、収穫の時期や、その果物のペクチン含有量も影響してくるのである。

 

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この林檎の例ではないけれど、何時日本に林檎が伝わってきたのだろうか?
明治時代以降と遅いのである。現在は、生食で食べると美味しい富士、陸奥、世界一、王林などが好まれているのである。アンのこの林檎、勉強不足の私には、大きな体験だった。
ペクチンは、どのようにして利用されるようになったのだろうか?

林檎にしろ、日本では、これらを食文化から見出すのは、難しい。しかし、世界の果物の中のペクチン含有量は、簡単な実験で存在が分かる。果汁や果皮の抽出液に同じ量の95%アルコールを加えて、凝固、沈殿を観察したら、含有量の多い物は、すぐにゼリーになる。この実験をお昼の主婦向け番組でやっていた。その理由は、こうしたペクチンは、まったく消化されない食物繊維で、消化管の中で大切な役割を果たしていることが分かってきた。人間の食文化は、体に良い食べ物とその中身は、利用される。前回の寒天もそうである。そして、これらの性質が分かれば、より食品加工に利用されていく。

 

世界のペクチン、原産地はどこだろうか?北部、中部のヨーロッパ、フランスでは、ブリュターニュ、ノルマンディー地方で、沢山の林檎の絞り滓から作られているし、ビートのパルプからも抽出されている。又、柑橘類の皮、例えば、ライム、レモン、オレンジからは、アメリカのカリフォルニア、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、南ヨーロッパで作られていて、これらの食物を食べられる地域である。つまり、これらの地域では、自然に食生活の中からペクチンの存在を知り、工業化されていったと思われる。採れすぎて余った物は、どうにかしなくてはいけないからだ。
今では、このペクチン、植物系ゲル化剤の代表例となったが、甘くて酸味の強いゼリーや、ジャムを連想されると思うが、この目的に使用されているものは、このペクチンを更に加工して、色々な用途に合わせて作られている。

 

 

科学の発達、天然ペクチンは、ガラクトースの誘導体に多数のメトキシル基が結合した構造を持っているが、このメトキシル基が全体の何%を占めているかで、ペクチンの性質が大きく変化する事が理解されている。現在では、新しいタイプの食品添加物・ペクチンは、このメトキシル基の割合を目的とする加工食品のレシピ―開発する場合のこれらの科学の実験は、自然に食文化から必然的に生まれたと私は、信じている。

天然ペクチンを加工して、少量のメトキシル基を除去した物は、HMペクチン(高メトキシル)と呼ばれ、これによって、ゲル化する場合は、全重量の55~80%の砂糖と強い酸pH2.7~3.5を必要とするし、これらは、ジャムや酸味の強い果汁でゼリーを作るのに適している。

これに対して、多量のメトキシル基を除去した物はメトキシル基の割合が比較的低いので、LMペクチン(低メトキシル)と呼ばれ、ゲル化する時には、様々なミネラル、例えば、カルシウムやマグネシウムを利用してつくられる。このLMペクチンはHMペクチンと異なって、多量の砂糖や強い酸が不必要で、これらの特性をいかして、ミルク系のデザート類に使用される。
こうしたペクチンを用いたジャムやゼリーは、只の林檎の絞り滓ジュースから、このように加工されたペクチンで、私たち消費者の要求に答えられる一定の品質で、再現性のある条件で製造できるようになった。

欧米にいくと、とにかく、たくさんの果物の加工食品がある。自然と果物の収穫の季節は、決まっているし、年間を通じて、供給源を保持しなくてはならない。それがためには?
食品添加物の上手な利用が鍵である!

 

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