日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食文化と食品添加物考

第四回 蒟蒻とグルコマンナン

大雪の後、仕事の帰りに、暖かそうに目を引く赤提灯!「ちょっと一杯やるか。」遠くの方から見えてしまうと、ついつい暖簾を潜ってしまった父、直ぐに帰れば良いのに、全く!それが、不思議な事に一年中だったら、困惑の域。亡母の怒りをいつも思い出す。しかし、暖簾の後に、竹輪があって、焼き豆腐、煮汁が染み込んだ野菜達、そして、三角、四角の蒟蒻を見た時、皆さん、子供の頃のおふくろの味と安らぎが湧きませんか?
昨今の私は老年太り、なんとかダイエット、とにかく痩せたい!

何故かって?当然の結果で、洋服に体のサイズを合わせなければいけない羽目になってしまっているからである。「沢山食べても太らない食べ物は、ないだろうか?」巷には、種々様々なダイエット用健康食品が売られている。「ひとつ、買ってやるかぁ-。いや、待てよ。食品の仕事こんなに長くやっているのだから、検討しなくては。とにかく頭を使おう!」ととんでも無い呟き言。

 

 

ところが案外、知られていないのが、蒟蒻、白滝の効用である。この蒟蒻、凡そ97%が水分、残りのうち、2~3%がグルコマンナンと呼ばれる消化されない多糖類である。栄養の面では、まるで見るべき物が無いのだが、昔の人は、この蒟蒻を愛用した。何故にこんなに長く日本人に食べられているのだろうか?昔から、「砂おろし」「砂払い」と言われるように、食べても胃の中では消化されず、腸内細菌の作用で分解されるので、腸壁を洗い流すと共に腸の活動を促すと言われている。イメージとしては、全くのお腹のお掃除屋、お蔭でこんな呼ばれ方をしたに違いない。便秘にも効果があるし、低カロリー食品である為、私のように減量に利用しようとする人がいらっしゃるようであるが、バランスの食生活に利用してはいかがだろうか?蒟蒻粉を利用した色々な製品開発が、時代と共に行われてきたのである。

当然の結果、人間の教養や、知的水準が上がるにつれて、食に対する関心が上がる。日本の「読み、書き。算盤」でなく、米国では「読み、書き、フード」と言う位に食の知識を持つ事が重要になってきた。さぁ、蒟蒻の話を続けよう!

蒟蒻は、サトイモ科に属する多年生の草本で地下に球茎(蒟蒻芋)が出来、これを採取する為に栽培される。原産地は、インド・セイロン、又は、コーシナチ(インドシナ半島の南部)と言われ、現在、天然の物が、中国から仏教伝来と共に精進料理として伝来したという説と、遣唐使が持ち帰ったと言う説があるが平安時代の和歌に詠まれたり、室町時代には、「点心」、として利用され、戦国時代には豆腐や納豆と共に食用に供された。しかし、庶民の食品として普及したのは、江戸時代からである。

蒟蒻は、困った事に、そのまま食用にする事がなく、全て加工されて食用蒟蒻として利用されている。不思議な事に、昨今、ゲル化剤、増粘剤として、注意されているグルコマンナンは、食品添加物なのだが、この昔からの蒟蒻は、一体食品、それとも食品添加物なのだろうか?冒頭の亡き父、かつて老人性痴呆症の為、病院生活を余儀なくされていた。週末は、私は、父を訪ねるのだが、症状が良い時に、いつも近くをドライブに連れて行く。そんな時、いつも奥多摩名栗の峠の途中の農家の軒下で売られている手作りコンニャクのファンであった。ほんの少し、寂しい、悲しいイメージの蒟蒻の産地、群馬県を中心とした北関東及び東北南部の寒村で栽培されてきた。少々感じるツンとしたアルカリ様の臭いを取り除いたら、昔ながらのあの蒟蒻、我が家に帰って、夫も喜ぶ・忙しい主婦も喜ぶ、「直ぐに出来、暫く保存の効く」便利な蒟蒻の当座煮を作る。

この蒟蒻は、どのように原理で製造されるのだろうか?蒟蒻の主成分は、糖質で、大部分は多糖類の一種であるマンナンである。特にコンニャク・マンナンと呼ばれ、このマンナンは、マンナン細胞の液腔内に蓄積され、肉眼で認められる程巨大化して、マンナン粒子と呼ばれる。このマンナン細胞の中には、他の澱粉や酵素類が存在しているが、これに水を加えると著しく膨潤して、容積を増やしてコロイド化する。更に、アルカリを加えると、凝固して不溶性となって、この際に煮沸すると、凝固が著しく促進されて、あのプリプリコンニャクの原理である。昔は、灰のあく汁を使用していたが、今はアルカリ剤として、水酸化カルシウムが用いられている。

調理的な観点からの蒟蒻は、テクスチャーと味が目的、ゲルの弾性、歯切れの良さを味わえるし、蒟蒻自体の味がない為、おでん、煮しめなど汁を吸収させたい煮物や、表面に味噌を塗る田楽のように、テクスチャーと味を両方味わう事の出来る料理に適している。更に、コンニャクの表面積を広く切って、千切りコンニャク、手綱切りされたり、肉と油と合う為、炒め料理されたりしている。

 

 

では現在のコンニャクの製造は?とにかく、スーパーマーケットに行ったら、沢山のコンニャク関連製品があるが、何が起きたのだろう?そういえば、何年か前、「コンニャクが無い!」と大騒ぎになったのに、現在では?

日本での蒟蒻芋の栽培種類は、たったの3種類で、在来種は生長率が劣る為、備中種は生長率が良いが、品質が劣るし、支那種は生長が旺盛であるが、マンナン含有量が少ないので、自然物としての問題が多い。こうした動きの中、タイでは、“elephant yam”と呼ばれる大きなコンニャク芋(8㎏から10㎏で日本の数倍の大きさ)が、徐々に活用されつつあり、米国への健康食品への導入がトレンドになりつつある。思いの外、アジア諸国には、蒟蒻芋があるが、食用とされないので、不思議なものである。

一般的には、蒟蒻芋は球茎を水洗の後、スライスして、重油による火力乾燥を行い、(昔は日干し)粉砕機で粉砕する。その後、他の成分、例えば澱粉などを風力選別で除去した物が、蒟蒻粉と呼ばれる。この中には、多くの不純物が含まれていて、重油に由来する二酸化イオウが多量に含まれていたり、独特な刺激臭がある。これが、原因でなかなかコンニャク製造以外には、加工食品とするのが難しかった。

それが!近年、グルコマンナンのアルコール又は、水によるハイテク技術の精製法が確立されて、ゲル化されていない状態で、純度の高いグルコマンナンが、食品に利用されるようになったのである。

食品の開発におけるテクスチャー改良剤、増粘剤は、様々な新製品開発に貢献している。このグルマンナンも食品添加物として、ほんの一端を担ってきている。ほんの少量で粘度が出るなど、経済的でもある。又、このグルコマンナンだけでなく、他の多糖類と共にレシピー開発に利用されると相乗効果や様々な効用が期待でき、ますます活用されていくのではないだろうか!

 

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