日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食文化と食品添加物考

第五回 「ローカストビーン」

三月も末、そろそろ桜の花が満開の声が聞こえそう!春、真っ直中へ突入の昨今、旬の野菜、目の覚めるような緑色の鞘えんどうと卵綴じを食べたいと思うのは、誰かしら?体に良い健康食品生活を目指してなら、豆類が一番である。それは、沢山のメニューが考えられる。途端、業務用食品素材で、某社世界の豆から厳選したザ・ビーンズ・シリーズを思い出した。とにかく、この豆腐、調理しようと思うと、手間がかかる。昔からの煮豆も丁寧に炊き上げようとしたら、大変だ。このザ・ビーンズ・シリーズは、実は簡単、素材の美味しさを逃がさないハイバキューム(高真空)缶詰で、少量の水分で加工する特殊製法によって、これら豆を素材本来の風味をそのまま賞味できるようにしたものである。

皆さん、豆類というと、すぐに大豆、えんどう豆、小豆、インゲン豆を思い浮かべるのが、伝統的な日本人である。このシリーズは、世界の豆類と銘打って、ご存じだろうか?たった5アイテム、お分かりになったら、相当世界の食べ物に、興味がある方だと判断できる!

それだけ、一般的には、知られていない。アメリカ産・レッドキドニー、赤いんげん豆でふっくらした味、お次はニュージーランド産・マローファット、グリーンピースを大きくした品種で料理用えんどう豆の最高級品、そしてメキシコ産・ガンバルソは、ナッツに似た食感で、オードブルにも幅広いメニューにも利用できる。更に、やはり、アメリカ産・グレート・ノーザンは、白系のインゲン豆で、柔らかな食感と癖のない味で、色々な料理に使える。最後のアイテムが、国産大豆の福豊種で、様々な大豆料理が楽しめるとのキャッチフレーズであった。

そう言えば、何年か前、新製品開発で調理缶詰のアイテムを検討していた事があるが、何故か、米国ではそこそこ食べられているチリミートビーンズは、実に不評で開発中止になってしまった。この素材シリーズをメニュー開発しようと思ったら、料理嫌い主婦では到底無理、やはり業務用が納得のようで、残念至極。

 

 

これら世界の豆類、起源は極めて古い。不思議な事に穀類と共に、有史以前から人類の食糧として用いられていた物が、とても多い。豆類は、豆科に属する一年生及び越年性の草本植物であり、穀類との違いは、貯蔵栄養分が、穀類では、澱粉であるのに対して、豆類では、蛋白質と脂質である。米食中心のアジア民族にとっては、特に栄養上重要である。
又、豆類は、調理の取り扱いの面から考えてみると、主成分の相違があるので、次のように、三つに分けられる。

A、蛋白質と脂質を主成分の大豆・落花生など
B、澱粉と蛋白質を主成分の小豆・ささげ・インゲン豆・そら豆
C、野菜的性質の枝豆。グリーンピース
C類を除いては、強靭な外皮の覆われていて、内部組織も穀類より緻密で、硬い物が多い。

A類などは、食べようとした場合、煮豆以外は、加工品として用いる場合が多いし、B類は、澱粉が多いので煮えやすいので、煮豆として食される。更に、煮た後で、澱粉を取り出して、「あん」として、汁粉や菓子類に用いられる。C類は、冒頭の水分が多い短時間加熱の野菜同様の料理に向いている。

 

 

そう言えば、皆さん「ジャックと豆の木」の話をご存じだろうか?ジャックが大男の後を追いかけて上がっていった豆の木は、雲の上でした。

豆と言えば、そんなに大きくなるのは、日本人の私たちには、違和感を感じはしないだろうか?大体、世界中の童話は、話の中に、必ず何か共通点がある。しかし、この豆の木、不思議と大きいのは、どうしてだろうか?

私はえんどう豆の木でなくて、ローカストビーンガムのカロブ樹の木ではないかと思っている。いつぞやの記事、食品化学新聞の「強含み推移のローカスト、原料買い上げの価格が上昇」の紙面を覚えておられるだろうか?

このローカーストビーンズガム(Locust bean gum)は、豆科の多年生の常緑樹であるカブロ樹(Carob tree)の種子の胚乳から得られ、主としてマンノースとガラクトースからなる多糖類である。冷水には一部可溶であるが、加熱によって、溶解して粘度のある液となる。このローカーストビーンズガムの分散液は、それ自身ではゼリー化しにくい性質を持っているか、前に書いた寒天や、カラギーナン、更にキサンタンガムと併用すると、優れた相乗効果を発揮して、ゼリー強度の増加や、食感の改良効果が得られて、沢山のゼリーなどのデザート類の製品開発が行われている。

このカブロ樹、実に歴史が古く紀元前からギリシャ・エジプト、ローマで人々に使用されていたことが知られている。工業的に使用されるようになったのは、1925年であり日本には戦後紹介され、広く使用されるようになったのは、昭和25年以降の事である。このカブロ樹の実のローカストビーンガムは、食品工業の他、繊維・製紙・皮革加工・金属など一般工業に広く使用されていたが、合成の水溶性高分子の開発と、この新聞紙面のように、価格上昇の為、近年では食品工業以外での用途は、限定されてしまっている。

このカロブ樹は、学名でCeratonis Siliqua,L.,と呼ばれ、比較的乾燥した気温の高い地中海沿岸諸国に古くから原生している豆科の多年生の美しい常緑樹で、高さ10メートル(40~50フィート)にも達する大樹であり、地中海沿岸と気候の似ている南カリフォルニアでも陽よけや、並木などに利用されている。

このカブロ樹、水の豊富でない地域、干ばつの多い地域でも栽培される反面、成長が遅く実を結ぶのに5年、完全成長するのに約25年かかると言われ、大体15年以上から確実に、結実するようになり、以後数十年に渡って種子を収穫できる。今日、収穫されているカブロ樹の中には、17世紀から18世紀に植樹されたものもあると言われている程である。

作柄は、天候に依存され、受粉が昆虫花であり、昆虫の発生の適する気候が要求される問題がある。

この果実、多くの豆科の植物と同じくさや豆状で、さや豆の大きさは、長さ10~20センチ、幅2~5センチ厚みが0.5~1センチのもので、目方は20~40グラムであり、成熟したさやは、褐色をしており、中に10~20粒の種子が含まれている。このさやの部分には、糖質が40~45%含まれており、このローカストビーン、別名・カロブビーン・いなご豆は、歴史が古く、この成熟前のさやを牛、豚、馬の餌として広く利用していたと聖書にも記されている。特に若いさやの果肉には、甘みがあって、食糧不足の際には、人もさやを食べていたし、貧しい人々は常食にしていた。

又、このローカストビーンガムからとれる増粘特製については、既に知られており、古代エジプト人は、ミイラの包帯の接着剤として、カロブペーストを使用していたのである。

その後、この地中海沿岸ローカストビーンは、世界中の各地に広まり、アルコール発酵の原料に利用されたり、ドイツでは、炒ったローカストの豆をコーヒーの代替品として用いられていた事もあるし、アフリカ北部では、さやの果肉を糖含量が高い事から、子供のお菓子に利用されたりもして食された。

興味ありは、カリフォルニア州では、1920年初期、このさやから様々な加工食品が開発され、特にロサンゼルスでは、小麦粉と混ぜて短期間であったが、良質のパンが販売されていたのである。現在でもアメリカなどでは、主に健康食品としてチョコレートの代替品として、ローカスト製品を使用して用途開発が行われている。

ローカストの種子は、偏平状でやや丸く、直径が1センチ位であるが、この種子から、化学的或いは、物理的に処理して種皮を除去して、胚乳部分を分離、精製してローカストビーンガムを得る事が出来る。そして、胚芽部分は、蛋白質強化剤、或いは黄色の着色料として利用したら、正に、食品添加物!

最後に、このカブロ樹の名前は、ヘブライ語でサーベルと言われ、これはさや豆の形に由来していて、その種子は、カラットと呼ばれて、今日の宝石の目方の単位に使用されている。女に生まれたら、何カラットの大きなダイヤモンドを選ぶか、食べた方が良いかしら……?

 

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