日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食文化と食品添加物考

第七回 「グルテン」

小麦製品の世界の消費量って、どれ程だろう?小麦はイネ科の植物って、ご存じだろうか?

学生時代に焼き立てのフランスパンを買って、本と一緒に持つのが、いかにもフランスと言う感じで、格好を付けて青山通りを歩いたものだ。事実、パリを訪れて、パンってこんなに美味しいものかと驚いた。それからというもの、通のふりして、この店の地下の有名な南フランス料理店を沢山いた?ボーイフレンドと一緒に、事ある毎に訪れた。何か、異国のパンの香りと味わい、今でも好きだ。

出張で訪れるとパリで流行のパンショップへ足を運ぶ。

しかし、今はパリと同じ風味?であろう沢山のパンショップが乱立している。

ワーキング・ウーマンを自認していた私だが、夕方になると、主人の為に、焼き立てのパンを買って、帰宅を急ぐ。何もそんなに焼き立てに拘らなくても良いのだか、皆整然と並んで待っている。焼き立てだから、美味しいに決まっていると、不思議と信じてしまう。皆が並んでいるのだから…。私のようなオバさんは、心理状態から洗脳されてしまうから、可笑しい!客から見えるように設置した窯で、一日に何回と、パン焼いて見せて、一種のデモンストレーションと共に、効果抜群である。確か、あの大好きなフランスパンは、そんなに直ぐに次から、次へと焼くのは、不可能だった。これは摩訶不思議……?食品加工技術の中、生地の進歩のお蔭だ。しかし、ほとんどの消費者には知る事のチャンスは少ない。。一見、凄そうに見えても、昔から比較すると、雲泥の差である。

今日も新聞を読んで、驚いてしまった。とうとう、「焼き立てのパン」を販売するコンビニエンス・ストアが出現した。「焼きたて直送ビン」と銘打って、菓子パンだけだが、「30時間は焼き立ての美味しさを保つ技術が出来た」のキャッチフレーズで、何倍もの売れ行きなそうな。今は、食パンや大型フランスパンについては、商品化出来ていない。昨今では家庭でも冷凍パン生地で焼けるが、業務用の世界では見事なくらい製品化が進んでいる。

 

昨今の米離れから、パン食が促進されているような気がする。生まれ育った家は、米穀商であるが、

巷に米屋と名乗る店舗は少なく、スーパーの片隅やグルメ気取りの地産地消によるブランド米が侵攻している。既に、小麦は米より主食として人々の食生活に定着してきているのだろうか?

想像を絶する消費量、約6億トン以上で、桁外れである。正確には、イネ科ウシノケグサ亜科に属する一年生草本または、越年草本であり、原産地はアフガニスタンからカスピ海南岸地域で一万年から一万五千年以前より栽培されており、人類最初の作物と考えられている。その実を収穫して、お粥や煎餅のような物を作り始めたのが数千年も前であり、それらが、少しずつ進化していったものが、現在の私たちが食べているパンや菓子や麺類等となった。

この小麦、わが国には、中国北部より朝鮮を経て北九州に四から五世紀に渡来したと言われている。世界中で栽培されているのは、凡そ10種類であって、普通小麦(パン小麦)は広く栽培されており、日本の小麦もこれに属していて、パンや菓子の原料として用いられている。この他、クラブ小麦はアメリカ西部で栽培される白粒種の一部であり、菓子原料に優れているし、デュラム小麦は、マカロニ、スパゲッティ用の原料となり、パン小麦の次に世界で広く栽培されている。

 

何故こんなに小麦製品が、重宝されているのだろうか?

第一に、世界の人々の主食となるのに、十分なでん粉質を含んでいるから、エネルギー源になる。

第二に、小麦特有のたん白質が二次加工に非常に便利な性質を持っているお陰で、沢山の食品を作り上げてきた。特に欧米では、この小麦から製粉した小麦粉の歴史は、太古から今でも主食の王座を占めており、これは他の植物たん白に無い小麦たん白の特異な性質を物語っている。第三には、小麦の生命力で、気候や土壌の順応性が高地、低地とかなり広範囲において、栽培可能であったので、ここまで広く普及して、世界の中の人々にとっては、なくてはならない植物となったのである。

 

大体、人類の食文化には、なんらかの加工工程が広く存在する。主食のしかりであるが、小麦の製粉工程は、比較的難易である。何故なら、米と異なり、皮が強く、一方、胚乳は柔らかく、粉粒となる性質があるので、両方の粉砕の難易を利用して、小麦粉と皮部に分けることができる。どうも日ごろ、私が豪語しているレシピー開発で、粉物のブレンディングの配合は、この小麦のせいで発達したのかもしれない。

小麦粉に、適量の水を加えて混捏(練る)すると、まず粘りが出て、いわゆるドウ(dough)が出来る。れ小麦粉の中のグルテンが「粘性」と「弾性」の両方の特性を合わせ持った独特の物質に変化する。これが、穀類の中でも唯一、小麦粉だけに含まれている二種類のたん白質と水によって、形成される一種の変性たん白質であり、二種類のたん白質は、卵などに含まれているたん白質と違って、普通の状態では水に溶けない。しかし、これらのたん白質に水を加えて練り合わせると、「グルテニン」は、ちょうど硬いゴムのような弾力のある物質に、「グリアジン」は、流動性のあるネバネバとした物質に変化する性質を持っている。

小麦粉の美しさを生かした調理法は、不思議な事に小麦に含まれるでん粉とたん白質のいずれかを主体とするか、その何れかが重要な役目を果たすにしても、グルテン形成をどのように扱うかに懸っている。良く膨れたパンの食感、細くカットされたパイクラフトのさくさくした歯触り等、それぞれの美味しさの持ち味をつくり出す要因になっている。一方、グルテン形成を抑制することによって、その持ち主を生かす小麦粉の調理法もある。例えば、ふんわりと膨れたスポンジケーキのソフトな食感や、天麩羅の衣のからりとした味わいなどは、主に小麦でん粉の糊化性や吸収性によって、もたらされる。このように、グルテンの特性を利用して、沢山の加工食品が生まれた。

十八世紀の半ば頃から、欧米諸国の穀物学者や食品工業の研究者によって、広くグルテンの製法は、水で練ったドウを、何回か水で洗浄を繰り返すと、小麦でん粉は水の中に流出して、グルテンだけがゴムの塊となって、分離される。この含水グルテンは約65%の水分を含み、このままではグルテンの持つたん白分解酵素の作用で、次第に分解されて、粘弾性を失い、更に微生物によって、変質腐敗してしまう。更にその強い粘弾性が災いして、食品添加を困難にしてしまい、グルテンの特性をフルに活用できない。

 

このグルテンをより広範囲で活用するためには、活性度の高い、つまり変性の少ない乾燥粉末にする必要がある。一般的なたん白質の通性として、ほとんどの物が加熱によってたん白質変性を起こして、物理的性質が加わり、その変性度は、温度、時間、水分の状態、pHによって異なる。このため、普通の乾燥法でなく、特殊な乾燥法が必要となり、たん白質学的に活性を保持したもので、この粉末に水を吸収させた場合に、直ちに元の吸収率を持った生グルテンに完全に復される物が活性グルテン、ここ三十年以前から、日本でも多くの工場で生産され、実用面も色々と開拓されてきているが、活性度の高いことが生命の為の、製法その他、なかなか品質が安定していない。しかし、レシピー開発には食品素材から、食品添加物として、利用されているから面白い。

諸外国で開発された活性グルテンは、ほとんどが製パン用であるが、日本での用途の主体は、魚肉練り製品の結着剤であって、趣を異にする。しかし、このグルテンの基礎的性質、例えば吸水性、吸脂性、乳化性、粘弾性、伸展性、伸長性、結着性、熱凝固性、高温におけるゲル化の安定性などを利用して、水産練り製品、畜肉加工品、製パン、製麺(中華インスタント麺)などの開発に貢献しているし、小麦粉を使用する場合には、加工食品の製造のレシピー開発には、色々検討してみてはいかが?このようなグルテンの添加物としての利用は、品質改良剤的発想から、若しかしたら、ひと味異なった新製品開発が出来るかもしれない。

元来のグルテンは、伝統食品麩の原材料であるが、このような活性グルテンを利用する事によって、小麦粉からの生グルテンの分離作業、でん粉乳の処理・販売の問題が無くなる。更に、原材料の保管、保存が簡単になるし、冬場での生グルテンの解凍作業の手間の省略が可能になるし、その上、衛生的である事に加え、作業性向上や合理化が計れるなど沢山のメリットがある。

普茶料理などに代表されるように、麩は日本の伝統食品であるが、鎌倉時代の終り、遅くとも室町時代の初期に中国から伝えられたと聞く。京都中心から、食文化の交流のお蔭で、関西地方の発達の生麩が江戸時代になると、焼き麩が次第に作られるようになったし、日本中に広がった。グルテンは、たん白質、小麦製品の為、アミノ酸組成としては、リジンが不足するが、消化は抜群に良い。お江戸に育った私の食生活には生麩が、上がらなかった。それが……?昨今、実に良く生麩に出会う。歯応えを大切に、美味しさを味わいたい。でもこの生麩は、どのようにして作ったのだろうか?

 

最後に、またもや失敗談!(グルテンの性質を理解して下さい)新婚時代の私、ええ格好したい。料理の達人、久保村喜代子、生麩をぬるい温度の油で揚げようとしたら……。キャあー!!!みるみる膨らんで、揚げ鍋から、麩が大きく、顔を出してしまった、今晩は!

 

 

 

生産量と消費量で見る世界の小麦事情 (農林水産省より)

生産量・消費量のトップクラスは中国・インド
世界中で生産・消費されている小麦。新興国等の経済発展や人口増加は、世界の食料需給に大きな影響を与える要因となっている。
米国農務省によると、現在、生産量・消費量の1位はEU諸国であるが、国別では、中国とインドがトップクラス。両国は、生産した小麦をほぼ自国で消費しているという共通点がある。
今後、新興国等の人口は大幅な増加が見込まれており、2024年には、中国とインドが世界の人口の35%を占めると予測されており、それに伴い、両国の小麦の消費量も増加が見込まれている。
また、近年、急速に生産量を拡大させているのがロシアであり、10年前に比べて30%増加し、2014年度には、それまで国別では3位だったアメリカをしのぎ、中国とインドに次ぐ生産国となった。

一方、日本は小麦の約9割を輸入に依存しているが、近年では国産小麦のニーズが高まっている。

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