日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食文化と食品添加物考

第十回「卵の話(その2)」

お久し振り……とは、どこかの歌謡曲のはじまり文句だ。

読者の皆さんにはだいぶご無沙汰してしまった。「久保村さん、あの連載、どうしたの、止めてしまったのかい?毎回読んでいたのに、続きはどうなったぁ?まさか飽きてしまったんじゃあないだろうねぇー。」いろいろお言葉をいただいてしまった。

なんのことは無い。只ただ、あちらこちら海外まで飛び回っているから、時間が足りないだけだ。食品の業界にいて、新商品開発に追い掛けられていると、食品添加物の勉強で手一杯といったところか!何せ女一匹、食品をライフワークに選んだのだ。さまざまなことを犠牲にしているので、ここで止めては何とも惜しい。もっとSavory flavor を正しく広めたいから…。

何年ぶりか、食品衛生法と栄養改善法などの抜本的改正作業が進められている。こんな中で、天然添加物も、法規制の対象となる。さらに、新規のものは安全性と有効性の確認が条件となるようだ。とにかく難題が多いことも事実だ。人類はさまざまな経験から、いろいろな過ちを犯して来たが、こと食品添加物となると別だ。先日もとある「ORGANIC」を合言葉の団体のご使命をボツにした。本当の意味での食品添加物をレシピー開発に使用する時には、一つ確固たる信念があるからだ。私事、自分自身の体と食生活を大事にしたいからだ。

それにしても世界は、確実に健康志向が強くなっている。食品添加物もそうだ。今年のIFTのキャッチが目に付いた。機会があればご報告したい。“Technologies for World Markets”他にも海外からの言葉は、Organic Ingredients と Health Ingredientsである。

 

食文化と食品添加物の話を続けたい。卵の話を!

 

卵の季節・卵の価値は?

春到来!卵の季節かしら?入学試験のその日を思い出す。合格しますようにと、母に勧められて、朝の食卓に生卵を飲んで出掛けた。何が故にて今ここで、卵か分からない。そうそう、4月の14日Good Day キリスト教では復活祭りに卵を飾らなくては……。鶏は卵巣機能の働きが日長に支配されるから、春は卵の生産が増加し、秋には減少が普通であった。しかし、昨今は点灯飼育の普及や、孵化期の調節、冷蔵によって需給の調節が可能になったため、いつもこうしたスーパーマーケットの目玉商品の一つとなっている。もう既に鶏は、工業生産の食品になっている。日本は戦後すぐに卵増産、鶏、そして餌など規制緩和を早々に実施、学んだ事を思い出した。

 

昨日も我が家の新聞と広告の山の中から、卵の特売が目を引いた。
「お一人様一パック限り、新鮮産みたて卵MLサイズ各10個入り各々98円」某スーパーマーケットのものであるが、昨年より暴落傾向が続いているようだ。
(この記事を書いてより何年の歳月が過ぎているが、相変わらずスーパーの特売製品に常連だ。
特に、未だ10個入り98円なりを目にするがあるから驚き!)

 

そして、この先に興味がある。
「安全性に拘っています。飼料には、抗生物質・抗菌剤合成着色料を使用していません。指定農場から直送しています。産卵後、直ぐにパックしています。新鮮さが、一目で分かる産卵日表示です。」どうも消費者はますます過敏になって、こうしたフレーズが必要となってきたのだろうか?
日曜の午後、93歳の親戚を見舞いに訪れた帰り道、主婦の私はまたまた、産直の嵐の洗礼を受けてしまった。主人に道すがら車を止めさせてしまったのだ。何せ、「産みたて新鮮卵、御随意にどうぞ!」の言葉に惹かれてしまった。スーパーマーケットで買うより絶対に新しいに決まっている。行動の過敏さにご賞賛!

 

商品区分けに驚いてしまった。一律三百円均一で、赤玉卵、白玉卵、L・Mサイズ、初産卵、有精卵とそれぞれあった。一番卵のサイズは小さいが、数の多いのが、初産卵パックであった。高値は有精卵でほんの6個、白玉より赤玉は二割り増料金が判明した。

一体、具体的に何が理由で値段に差異が現れるのだろうか?

卵というと、何故か同世代以上の方なら思い出があるだろう。卵は滋養、日本人にとっては、重要な動物蛋白質源であり、栄養的にも優れているという事が頭に焼き付いている。おかげで主婦としては購買意欲にかられてしまうから、おかしい。

安い卵か、オーガニックの卵、あの農家の庭先で餌のミミズや小さな虫を食べている鶏と何が違うのだろうか?有精卵は?

卵が私たち消費者の台所に届くまで生産から店頭まで凡そ三日、その値段も実にリーズナブルだ。ここで、せめて声を高らかに…。卵のポイントは、洗卵にある。生まれるその場所を思い出して欲しい。その加工において、永遠のテーマにお気付きと察する。

 

しかし、真実を本少しだけ述べさせていただこう。赤褐色の卵の方が高い栄養価が言われているが、殻の色と栄養価は何の関係も無い。しかし、殻の色は鶏の品種を現し、一般には耳たぶの赤い鶏は赤褐色の卵を産み、耳たぶの白い鶏は白い卵を産むそうである。

卵の色は、よく濃いほど良いといわれている、卵黄の色を決めるのは、配合飼料中のアルファルファミールや配合トウモロコシなどが含まれるカロチノイド系色素のキサントフィール類によるものであり、卵の質や味とは全く関係ない。卵黄のカラーは、飼料の成分を変えると、緑草ばかりであるとオリーブ色、藻類なら桃色、唐辛子、海老、蟹などの甲殻類、綿実油の滓ならば赤色となるそうである。これこそ、飼料添加物が重要だということだ。グローバルワールド

品種には、殻が白いとは限らない品種も沢山ある。消費者の興味をそそるような緑、黄色...沢山ある。

…そうそう思い出した。

子供の頃ミカンが大好きで沢山食べ過ぎて、母に文句を言われた。「あまりミカンばかりでは、手だけでなく、体もまっ黄色になってしまうから……」。嘘かまことか、おかしい。

 

卵の鮮度

卵の鮮度と性質を語ろうとしたら……。

代表的な科学の手品をどうぞ。

夕食の後、台所から水の入ったコップを二つ持ってきた。やおらそのコップの中へ生卵をそっと入れて見た。生卵はコップの中に静かに下がり始め、底に横たわった。さあー。もう一つの卵は、「やっぁー」と気合を入れて生卵を入れると、前と同じように、静かに下がり始めるが、今度は途中で止まってしまった。

「これはおかしい。なんかコップの途中に引っ掛ける物を入れてあるに違いない。」と言って、すぐにコップを覗いて見たが、何もない。ただ、水の中に卵が浮いているだけだ。それでも信じられないので、コップの水をなめてみた。当然、普通の水だった。

あれこれ考えてはみたが、よく分からない。

しばらくしてから、「それぇー」と気合い入れて、水をかきまぜると、あら不思議、途中で止まっていた卵が底まで下がってしまった。

その答えは、最初のコップには水だけ、もう一つのコップには食塩水と水の二層に分けておいたのである。生の卵は水に沈むが濃い食塩水には浮かぶ。そこで、コップには濃い食塩水を半分作り、その上からそっと水を入れると、かき混ぜない限り、混ざりあわない。水より濃い食塩水の方が重いからだ。

この二つの層の中へ卵を入れると、上の層は水であるから沈むが、食塩水の所まで下がると、今度は食塩水が卵を浮かせてくれる。つまり卵が途中で止まる形になる訳である。

しばらくしたら……、コップの水をかき混ぜれば、薄められて卵は沈んでしまう。

……なんとシンプル、子供の頃の科学の実験の続きだ。沢山あるが卵の見分け方だ。

生卵と茹で卵が両方あって、区別が付かない。

卵を回転させてみてはいかが。卵を一つ一つクルクル回して、良く回るのが茹で卵で、上手に回らないのが生卵と直ぐ分かる。卵の中身が固まっていない卵を回すと、殻の中で白身や黄身が動きまわり、不安定な回転になってしまう。お試しあれ。

さらに、卵の鮮度の見分け方は……。

その外観、殻ががさついていて、持ってみるとかなりの手ごたえがあり、電気や日の光に透かしてみると、割合明るく見えて透明なものが良い。暗影があったり、卵黄の陰が動くものは古い。(透視法)

一リットルの水に食塩大さじ五杯混ぜた塩水をおよそ六十グラムに付けて、真横になって沈めば新鮮、古くてなるにつれて少しずつ浮き上がる。(比重法)

また、平らな皿に割って見て、卵黄が盛り上がり、周囲を分厚い卵白が囲み、さらに一つの卵白が取り巻いているのが、一番新鮮で生食可能だ。全体がだらりとしているのは、火を通してから食べる。(卵を平板の上において卵白・卵黄の品質判定する係数法)

 

卵の加工

子供の頃、毎日のように卵焼きを食べた。昭和四十年頃三日に二個の消費の数字が物語っている。「巨人・大鵬・卵焼き」が合言葉となっていた。ほんの少し前までは病人・冠婚葬祭用だった卵に確実な変化が起きつつあったのもこの頃からだ。

昨日も業務用寿司屋サイズの大きな卵焼きがスーパーマーケットの棚に一つ580円、何と廉価なことだ。百円寿司のネタの中で利益率の最も高い物に違いない。

卵の主たる加工原料としての行き場は、製菓原材料としてである。殻付卵は産卵直後から品質低下が始まってしまう。特に卵白は水様化や卵黄膜の強度減少。あるいは、卵内への微生物侵入による変敗や腐敗が起きてしまう。そのため殻付き卵からさまざまな一次加工がなされている。

何せ腐りやすい卵をいかにしてその卵加工品の機能特性的見地、例えば起泡性、結着性、凝固性などの点で望ましい状態で維持し、加工するかである。新鮮な卵を緩い殺菌条件で上手に利用するかである。

とにかくこの卵、ここ何十年かの加工食品の発達にどれだけ貢献している事だろうか!

一次加工の中でポピュラーなものは、液状卵であり、割卵後液状全卵・液状卵白・液状卵黄の三種類が出回っている。特にマヨネーズ製品の副産物の液状卵白が最も多く、次は液状全卵品が業務用として市販されている。液状卵白は、糖衣菓子やヌガーなどの原料として用いられているが、ほとんどが水産練り製品やソーセージ用として使われている。液状全卵はカステラやスポンジケーキ用として使用されているが、割卵後攪拌濾過して、均質化した物と、全く攪拌していない、通常割り込みといわれている物があり、これらはユーザーの要望に応じて、受注生産され、取引されている。

この他は凍結卵であり、これにも凍結全卵・凍結卵白・凍結卵黄の三種類がある。卵液の凍結は、マイナス二十℃からマイナス三十℃で、製品はマイナス十五℃で貯蔵される。凍結卵は液体卵より保存性が良いが、解凍条件も厳しいし、凍結したことにより、起泡性や乳化剤をそれ程要求しないクッキーやシューの皮・イーストの生地類・栗まんじゅうの皮などに使用される。

後は一次加工としては乾燥卵を挙げることができる。乾燥卵にも乾燥全卵粉・乾燥卵白分・乾燥卵黄粉の三種類がある。全卵は噴霧乾燥法、卵白のみは蒸気加熱乾燥法による。最近は凍結乾燥法も採り入れられ、これは水を加えると、容易に乾燥前の状態になり、品質も優れている。

乾燥卵は、吸湿を避け、光線・酵素・重金属に触れさせないように貯蔵しなければならない。乾燥全卵と乾燥卵黄は窒素ガス・炭素ガス中に封入する事もある。

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