日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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論文・出版物

食品のグローバル化と新製品開発考

「食の安全」への姿勢明確なオバマ政権

米国のオバマ大統領は5月13日、政府、消費者、食品産業団体など産官学のメンバーで構成された食品安全ワーキンググループを招聘して国民の食品安全システムについての最新情報および改善について公聴会を実施し、2010年国家予算においてFDA予算の大幅な増額の必要性を説き、採択した。大統領は就任した3月から国務省以下の各省長官を組織して、21世紀の安全保障への法整備を準備していた。

ワーキンググループは議長にヘルス&ヒューマンサービス(日本では厚生労働省に当たる)のキャサリーン・セベリウス長官、副議長にトム・ビルザック農務長官を指名した。この食品安全大改革の特徴は、「予防」であり、「危機への迅速な対応」である。

公聴会のオープニングでオバマ大統領は「我々は第一に食品汚染を防ぐシステムが必要であり、信頼できる情報集積のため、さらに精度の高い立ち入り検査、そして公法人・団体による有効な規制基準を策定しなければいけない」として、突発事故や大発生(アウトブレーク)およびその拡大・飛散の予防・早期回復への対処を明言し、10年予算で食品安全に対して09年比259億円増の1000億円を予算化した。FDAが食べ物由来の健康被害防止監視システムの新スタンダードを開発する。

世界的な経済不況の中で国民の食への重要性を重視したこの政策では、正に「食は国防」という考え方に基づき、国策と法律を軸とした体制作りが行われる。

日本はどうか。将来にわたっても懸念されるインフルエンザ対策も喉もと過ぎれば……ではないが、マスク着用の可否の問題以前に、情報収集と解釈が必要である。現実は、海外から嘲笑を買う日本のパラノイア(偏執病)状態を日本と諸外国の差異として直視すべきではないだろうか。

現に、アメリカは養豚場のガイドライン改善を最近数年にわたって行い、大量養豚肥育の改善をしている。日本の獣検疫レベルの高さは世界の研究者に知られているところだが、食品安全への対処は欧米との開きが大きい。

また、米国は4月8日のWTOの衛生食物検疫措置に関する委員会を通じて、各国に対して米国農務省食品安全検査局が輸入および国内流通する畜肉、家禽肉、卵製品を連邦畜肉検査法、連邦製品検査法、連邦卵製品検査法に基づき規制する–と通達した。現在は米国農務省動植物検疫局のみが輸入検査を実施しているが、その内容が実行されると今後は米国農務省食品安全検査局が検査を開始するため、原材料の加工施設の認定が問われ、対象原材料である畜肉、家禽肉、加工卵を使って製造されたすべての食品(それらの肉を少量しか使用していないものを含む)は、米国農務省食品安全検査局の検査を受けた施設、または認めた外国の検査システムによって認証された施設で製造されたものでない限り、米国への輸入は認められなくなり、これらの原材料を使用した食品の米国向け輸出が困難になることが予想される。

一方で、先に行われたIFT(食品科学技術者学会)のオープニングセッションにおける発表で、元ホワイトハウス経済政策担当官のテッド・ブッシュホルズ氏は最近数年の食品産業について、経済氷河期の中であるが2010年に日本10%弱、中国30%弱、インド25%弱前後の伸長を予測し、世界の中でこの3ヵ国だけの進展が期待可能であろうと語っている。

すさまじいスピードで加速するグローバル化とともに進展を維持する食品産業は、最大の関心を何に払い、重要・必要事項は何なのか、を知るべきである。日本は食品安全をどんな国策で守ろうと考えているのであろうか。

オバマ政権が着々と進行させている国民の食を守る姿勢を注視しなければならない。

 

MAP包装技術で急増する輸入野菜

日本はかつてない高齢化社会を迎え、2020年には要介護高齢者が500万人にも達するといわれている。健康で長寿生活を過ごすためには、予防医学のコンセプトが大事である。

アメリカでは約50年にわたり、疫学を研究して実施している。

世界中に浸透中の和食ブームといわれて久しいが、アメリカでは国民が健やかに老いるための食生活の提案とともに、野菜の消費量はすでに日本を越えている。食を国防の一環として位置づけており、日本とは“健康の重要性”の認知が異なっている。

野菜のビタミン・ミネラルなどの栄養素は、栄養サプリメントの数十倍の効果があることが、疫学の研究者によって明らかになっている。特に野菜・果物は抗酸化力、免疫力、解毒作用など優れた作用を有している。

今、某大手コンビニの消費期限の迫ったおにぎりや弁当、生鮮食品などの値引き指定販売、いわゆる見切り販売が問題となっている。生鮮品や惣菜の廃棄は、食糧問題、地球環境問題、人口増加問題の視点から捉えると言語道断であることは世界の共通認識でもあり、損得より先に善悪を問うべきであることはいうまでもない。

食の長期保存実現のための世界の包装技術の進化と発展は、他産業の技術と比較すると、見事なほど遅々として進展していない。古代の狩猟生活から、1880年代にはポリマーやバイオポリマーの包装材料、1930年代は無菌充填、1940年代はマイクロウエーブ、1950年代はレトルトパウチやトレー、1960年代にはそれらのアクティブな動向と情報化、1970年代無菌バルク包装、1980年はガラスコーティング、1990年代には多層プラスティックと進化を遂げてきてはいる。

スーパーの生鮮野菜コーナーのカット野菜入りサラダセット、コンビニのサラダなど生食用の果物・野菜が目立つようになって久しい。これらの生食カット野菜は、1970年代後半にアメリカで開発された。2000年には一大産業に成長し、欧州英国やフランスでは1000億円規模を確保している。

当然、わが国もカット野菜などで1000億円程度の需要規模があると予測されている。従来のカット野菜は、簡便性、廃棄物の軽減、価格安定などのメリットもあるが、価格が割高、通常の野菜と比較して品質保持が難しかった。

しかし、数年前から大手コンビニなど小売で野菜の低温物流網が発達し、野菜の生産地から店舗まで最適な温度で流通されるようになった。アメリカで発達したコールドチェーンは、畑で収穫されたばかりの野菜を予冷、つまり、できるだけ速やかに適正保存温度まで一気に冷却するもので、各種野菜に整備されつつある。

特に、マップ(MAP=Modified Atmosphere Packaging)のさらなる利用で、正に黒船渡来以来といわれるほど生鮮野菜の輸入量が増加している。小売だけでなく、外食などフードサービス用の原料も日持ちのよいカット野菜の輸入という形に変革を遂げている。MAP包装とは、青果物は収穫後も呼吸を続け、栄養分が消耗され、成熟や老化が進んでしまうが、その呼吸量をできるだけ低く抑え、品質低下のスピードを遅らせる有効な手段である。野菜や果物などの呼吸は、温度条件と大気中のガス条件により大きく影響を受けるので、一般的に低温状態下で呼吸が抑制され、これらを利用して低温貯蔵輸送が行われている。MAP包装は、空気中の酸素や二酸化炭素などによっても影響を受けるので、「低酸素、高二酸化炭素」の状態にして呼吸を抑制する包装原理がコンセプトである。

包装内の空気に外気の酸素を取り入れて二酸化炭素の排出量をコントロールすることで鮮度を保つために、その包材は目に見えない小さな穴、通常30~100ミクロンのナノテクノロジーレベルの微孔から包装内の青果物は呼吸を続けて必要な酸素を取り入れ、二酸化炭素を逃がす。ミクロの穴と青果物自身が行う呼吸のバランスによって袋内を平衡状態に保ち、長く保存が可能である。

このMAP包装は食品科学、青果物に関する豊富なデータと各々の流通条件を加味して、工業用、小売用、業務用とをさまざまな形態で流通している。アメリカにおけるMAPコンセプトは、日本のスーパーマーケットで並ぶ新鮮カットサラダパックの消費期限3~4日に比較すると一目瞭然の状態。アメリカでは2週間が当然、1ヵ月でもOKのものがある。

自給率約40%のわが国は海外からの生鮮輸入攻勢をどう考えるのか。鮮度をどのように判断するのか。産地(畑)から鮮度コントロールする技術は、残念ながら日本は後進国である。

カットした後の菌数管理をどれくらいできるかが勝負となる。さらに、日本のデパ地下惣菜のサラダとは比較にならないほど賞味期限の長いサラダパックや野菜パックがアメリカでは普通である。生鮮の原材料コスト、畑での管理、作業員コストの差異、そして当然、世界でも名だたるエネルギーの高価格や、物流コストの高価格を乗り切るのは至難の業である。

皮をむく手間が不要な、スライスされた、栄養豊かなリンゴをスナックにいかが?–日本の消費者が求める厳しい品質と衛生は、国際社会の生鮮流通と大きなギャップがあり、それをカット野菜・果物が証明している。

 

肥満増加と低・ゼロカロリー商品開発

いつの頃からか一般消費者の砂糖に対する気持ちが変化してきた。食品メーカーも巧妙にこのトレンドを俊足のごとくキャッチし、新製品開発が促進されてきた。その結果、昨今のちまたにあふれるゼロ・ノンカロリー・飲料に至っては、甘い風味を求め、その風味開発に新しい甘味料を利用してそれらの製品が市場を制覇しているかのようだ。

「甘いものを食べると肥(ふと)る」「白い砂糖は漂白しているから食べない」。砂糖製造において精製して結晶化すれば白いのが当然であるのに、そのサイエンスは消費者には難しいのだろうか。となれば正しい食品に対するサイエンスを教えてほしい。

蔗糖(しょとう)は、正しく貴重品で精製した白く輝く美しさはその神秘さと耽美(たんび)な味覚から万能薬として珍重された歴史もある。消費者のダイエット志向は、うら若き乙女のぽっちゃりした美しさよりスキニーレディーがお気に召している。ミドルエイジになれば、やれ成人病予防のためにカロリーが気になるから、甘くないお茶、それも高血圧に良い、糖尿病予備軍などその機能性をアピール。実は、甘いものを食べたからといって単純に肥るのではない。

甘味料である砂糖摂取についての懸念の根底も減塩であれ、ある部分同じトーンが流れている。1960年、塩と高血圧の発症率に比例するという論文が海外で発表された。食塩が時として高血圧の原因との考え方が定着した。医療の世界では、高血圧患者の特にナトリウム感受性高血圧症で降圧剤を服用している人が食塩制限をすると有効であると以前から知られている。減塩が必ずしも血圧抑制する訳ではない。医療の世界では、塩の摂取で血圧が上下する人とそうでない人の存在が分かってきた。遺伝的な要因による制限は、食品感受性遺伝子を有していない人、つまり非感受性の人には制限しても期待する効果は見られない。正しいダイエットと取り組めば容易に理解できる。

砂糖は、食品産業の長い歴史で奴隷制や産業革命などさまざまな出来事と深くかかわってきた。その用途は、いうまでもなく、史上最も重要な甘味料であり、それらの製品の栄養性はもとより、調味料、嗜好(しこう)品、保存料として多量に利用されてきた。

ノーベル賞のサイエンティストがメディアに称賛されているが、製糖産業における昨今の糖アルコール、新しい甘味料ブームのサイエンスリーダー的な役割を果たしてきたのは、日本人フードサイエンティストである。現在の立役者の糖アルコール製造へ向けた酵素など国際社会でも群を抜いている。

戦後の復興期、日本にはわずかの砂糖しかなく、52年まで配給制であった。食糧難に苦しみ、そんな状況の中で人びとにとって甘味は、非常に貴重な存在であった。一方、需要の大きさと配給では甘味の欲求を食品産業は提供しきれず、そんな時代にズルチンやチクロなど人工甘味料が利用されたが、安全性の問題から使用禁止になった。

戦後の復興とともに砂糖の消費量は増大。配給制が撤廃され、粗糖輸入のために外貨が割り当てられ設備増強された。その後に、63年には粗糖輸入が自由化され、65年以降は、糖価安定法そして糖価調整法などなど制度改革に基づいた体制や変遷により消費者は、通常市場のスーパーではたびたび特売の対象にもなって安価で購入できるようになった。

73年、1人当たり年間消費量は29kg、昨今は、さまざまな砂糖に対する誤解や食品メーカーによるたくさんの製品開発により甘味の多様化、特に微糖、甘さ控えめなどで現在はおよそ20kgといわれる。食生活に欠かせない砂糖がグローバル化で変化を受けている。

一時前のアメリカ食品産業の原材料トレンドは、脂肪代替物、その次が肥満大国で人びとが大好きな清涼飲料水に低カロリーブームがぼっ発。酷暑の夏にゼロという言葉にひかれてヒットし、それらの製品がベンディングマシーンを飾った。一方、飲料業界では甘味を抑えるよりお茶をPETで飲むのが当然になった。ビジネス会議のテーブルにはPETボトル。アメリカでは会議の時、ブレーンを働かせるためか必ずといっていいほど甘いキャンデーが置かれている。日本人は、急須で入れたお茶の味を忘れてしまったのか、それともおいしい、便利だからPETで飲むのかは明確にしたくない。

かの国で大きなイシューになっているのは、たとえ低カロリーであろうが摂取過剰であることの懸念。日本でも同様であり、1日当たりの総摂取カロリーからが鍵となることは必至。

脂肪代替物は、あの油脂のおいしさを再現するには遠い存在。それに反して甘味は、まずは食品メーカーのマーケティング力、処方を組むパワーか。その背景には香料業界の腕によるものか、それともマスキング力なのだろうか。この新しい甘味料のサイエンスによるすぐれた背景が見えかくれしている。減塩のようにその元来の摂取量の少なさもさることながら、甘味料の摂取量と期待度の大きさの比較にも興味がわく。低カロリー甘味料は、その甘みパワーに反比例するかのように体重1kg当たり1日の許容摂取量は、mg単位だ。

こうした食生活、欧米著名食品メーカーが減塩製品を販売、市場形成しその効果を疫学上で少しずつ反映されつつあるというマーケット情報が発表されているのがグローバルトレンドである。本来、体中で甘味を感じる部分、カロリー摂取抑制部分の連携混乱を予測するために、リサーチャーが研究していると聞く。甘くても低カロリーのものに慣れてしまう危険性に警鐘を鳴らしている。現実問題として、アメリカのシュガーレス飲料の愛用者は80年後半から増え続けているが、さまざまな要因も考えられるが、疫学上、肥満人口が減少していない。

この夏、EU安全委員会は、小児の消化管耐性に関する新しいデータの観点からエリスリトールの安全性に関する声明を出した。一般的に低カロリー甘味料である糖アルコール類は、食べ過ぎると下痢を引き起こす。砂糖による甘味の再現で新しい甘味料を摂取すること、成長過程にある小児は大人より緩下作用に対する耐性が強いとされているが、胎児・新生児・小児に対する安全性を十分考察されなければならない。

数年前から、フランス政府の食育は子どもたちに正しい砂糖の味を教えるプロジェクトを実施。それは本物の甘味を教えようというプログラムだ。日本政府の食育も正しいフードサイエンスを取り入れてほしい。

一時前、日本でもオシャレな角砂糖にブランデーをしみこませ、ティータイムを楽しんだ。パリのグルメスーパーの砂糖コーナーの物珍しさ、おしゃれでカラフルな製品が目につく。

食品メーカー新製品開発のアイデアの欠乏は、時として原料をただ置換して風味を再現したにほかならない。シュガーレスキャンデーをたくさんなめると、キャンデーの甘味の欲求を満たしてくれるが、下痢をしてしまえば少しはやせる(ダイエット?)ことになるのだろうか。

 

低減ナトリウム戦略と商品開発

「バランスダイエット」忘れるな

100年以上も続いた塩の専売制が平成9年に廃止され、平成14年には完全に自由化された。かつては、戦争のための費用調達、低価格な外国産塩に対抗するため、そして国内の製塩産業の保護・育成・安定供給を図ることを目的に、自由な流通を制限する必要があったからだ。

後に世界中から珍しさが売りの岩塩、天日塩が市場の話題となった。専売時代には輸入されなかったボリビアやネパール(ヒマラヤ)に代表される赤色系岩塩がグルメソルトとして愛用され、また諸外国からの海塩を市場でよく見かける。

専売塩は、諸外国と異なってヨードやセレン、亜鉛、フッ素などの添加が日本では認められていなかったためピュアであったし、食品安全としても非常に優れていた。

日本では食品工業用途で安全性に関するデータがなかったことから特段規制を受けてこなかったフェロシアン化カリウム。当時の大きな社会問題になった輸入食品に既存混入されているいわゆる違反添加物扱いされたものだが、今日では食塩の固結防止剤としての使用が承認されている。

未承認のままだと、スーパーマーケットの棚からどれほどの製品の姿が消えたことだろう。このフェロシアン化カリウムは塩の結晶を変える晶癖剤で、一般的な塩用途の立方体結晶からより用途開発が諸外国では進歩していた。

その昔、香料のアプリケーション学で樹枝状塩は、スナックなどのシーズニングブレンドの原材料として利用すると、ポテトチップの表面が容易に付着し、味わい深くなると海外で知った。日本では不可であることを悟って、愕然(がくぜん)としたのがいまだ脳裏に焼き付いている。

さまざまな結晶形態を見ると、フレーク状はバターチーズ、ブリケット状は易溶性でイオン交換樹脂再生用、タブレット塩は重さがほぼ一定で缶詰など自動充てん用と多種多様だ。

粉砕塩の代表例として、岩塩をなめると口腔内濃度が低く、溶解速度が非常に遅くて少し甘いマイルドな感じになるが、溶液にするとマイルドな甘味が消失してしまう。岩塩も精製塩はいったん溶解してからでその結晶は異なっているため風味が異なってしまう。

オバマ米大統領直轄政府下、低減ナトリウム戦略は、熱い弾みと一緒に努力・競争により獲得するものと、アメリカ医学研究所レポートは、FDAに食品加工とフードサービス業界で使用される食塩のために標準を設定する必要性を強調、力説している。

食品加工業者は、自社製品の含量レベルの調節に目標を設定。これは消費者にとっては、ためになることだろう。しかし、本当に食品加工業者が理解しての上なのか、それとも世論の変化に喜んで応じているだけなのか疑問だ。

 

加工食品のNa低減は最も熱いトレンドに

昨春ニューヨーク市は、包装された食品やレストランでの食べ物へ任意の減塩取り組みを促進するため、包装された食品61種類、レストランで食される食品25種類の中で10種類から40%のナトリウム含量を減らすことを国立健康協会と共同発表した。これに対し具体的な食品産業界の反応は、食塩含量を抑制するために自発的第一歩の概略やナトリウム低減計画などを発表し、現在販売されているポピュラーな食品群から実施し始めている。

加工食品のナトリウム含量を低減することは、最も熱いトレンドだ。

年明け早々、海外で話題になった乳製品学術研究ジャーナルの結果発表にメディアから熱い視線が注がれている。

大手グローバル企業ユニリーバ社と大学産学協同研究により正しく選択された芳香(香気)は、低塩食品に塩味が強化できる可能性があるという。これは風味づくりのマジックとテクニックへのサポートになる。

ナトリウム低減の概念は、疑いもなく製品開発の注目の的となっている。それは明確な食塩摂取を抑制する消費者に勇気づけるための方法や道に違いない。

特定されたアメリカ人800人のグループでダイエットにおける食品とナトリウムの摂食と行動について調査が行われた。注目すべきは、消費者が定期的に消費、摂取する食品や飲料について許容可能なナトリウムレベルについて、65%の人々が混同と懸念を抱えていたことだ。一方、80%近くの人々が1日の推奨量を知らないという現実が浮き彫りになった。

日本人は、1日11g前後の食塩を摂取。日本国の健康政策である“健康21”では、成人の1日当たりの食塩摂取量の目標値を10g未満としている。塩の摂取過剰を国民平均で2g減らせば、血圧2mHg下がり、それによって6%の脳卒中が減ると推定されている。栄養表示のナトリウム量を2.5倍にすれば、食塩摂取量換算ができる。

 

いまだ修正されない塩イコール高血圧

私たち日本人は、欧米に比較して脂肪やカロリーが少ないため、塩分を少し減らせば優れたダイエットが期待できる。

1960年(昭和35年)、塩と高血圧は、その発症率に比例するという論文が発表され、塩イコール高血圧の考えが定着している。当然、高血圧患者には減塩、特にナトリウム感受性高血圧症や、降圧剤を服用している人が食塩制限すると有効であることは以前から知られている。

トクホ食品の臨床実験などの確たる条件下や、大多数の人々が食塩摂取を若干制限すると、影響があるとしても微々たる世界で、ほとんど関係ないといえそうだ。そんな状況下、その後多くの反対論文も出たが、いまだ修正されていない。

しかし、減塩が必ずしも血圧を抑制するわけではない。塩の摂取量によって血圧が上下する人とそうでない人が分かってきた。その理由は、遺伝的な要因によるもので、食品感受性遺伝子を有していない人、非感受性の人にとっては、食塩制限はあまり意味を持たない。

減塩に伴う高血圧抑制栄養素の欠乏懸念もあり得るかもしれない。単に食塩摂取量を抑制するとカリウムやマグネシウムといった高血圧を抑制する栄養素の欠乏を招く恐れがある。味噌汁自体はこれらの微量栄養素の摂取源としては、優れており、さらに味噌汁の具に含まれる野菜やイモ類にはたくさんのカリウムも含まれている。海藻や大豆製品にもマグネシウムが含まれており、調理によって溶出するので、味噌汁は上手に摂取すると血圧抑制、栄養素摂取には最適と言う専門家もいる。

WHOは、世界各国の政府機関へ「ハイ・ソディウム・ダイエット」、正しいナトリウム摂取過剰改善に向けアドレスしている。アメリカ人の1日推奨ターゲットは800mg、現在の食品からの摂取中央値は1日当たり780mgから1180mg、女性は580mgから780mg。アメリカ医療協会は、FDAへ食塩をGRAS(Generally Recognized as Safe=一般に安全と認められると翻訳されるアメリカ食品添加物のステータスであり、動物実験などによる十分な毒性データがないものの、長年の食経験や科学的な知見を総合して評価。食品添加物として使用する際、際立ったリスクがないと見なされた物質のこと)のステータスから外すことの必要性を強く主張。昨今、アメリカ臨床専門家から出ているコメントや動きは、減塩に対する根底にある複雑さが露呈している。

単に塩は良くないというならば、海水塩の賛同者のごとく、微量なミネラルの影響も必至だ。バランスの取れたダイエットは、まさに一人ひとりのテイラーメードな処方が必要であるがゆえだ。

国家レベルで欧米社会のような食品産業への働きかけは、よりスマートかもしれない。しかし現実は、消費者への正しいダイエット教育が第一歩。国家レベルでどのように実施したらよいかは、難しい問題を抱えている。個々の人々への栄養ダイエットに際し、テイラーメードのサポートには、病気で医療指導を受けている人以外、日本はまだまだほど遠い世界だ。

新製品開発を担う人々には、素材会社の減塩代替物開発も興味ある世界だ。塩を同じ機能・作用、働きをする風味づくりマジックをとことん求めても不可能に近いだろう。

何年か前のことだが、人工透析患者の死に関して、腎臓石の多さでカルシウムが話題になった。この石が理由ではないにもかかわらずだ。

私たちの通常の生活に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防で、食品へのカルシウム強化はどのような結果を生んだのか、実際の把握は難しい。そして流行の塩代替物(添加物)に利用されるカリウムやその他の物質はなんの影響も及ぼさないといえるのだろうか。

石器時代の人は、1日0.5gから3gの食塩しか摂取していなかったといわれるが、人体はこのレベルに適合しているに違いないとの専門家の意見もある。減塩に際し、正しい判断基準とダイエットが必要であると思われるが、今現在の減塩志向は、世界中まだまだ過渡期、進行中だ。

アメリカのような国家レベル規模、欧米社会の動向と日本を比較すれば、後進国的キャラクターを有しているといわざるを得ない。

 

薄味に慣れさせて従来の「美味」期待を

食品産業界揃って減塩、薄味になるのか。今まで通り美味なことを期待するにしても、(1)薄味に慣らさせる(2)レシピ開発に減塩概念を取り入れる(3)1回の摂取量規模、食べる回数と量など根本的な処方改善開発(3)上手なフレーバリング。効果的に塩を使う。風味マジックのツール、酢、香辛料、アロマチックな油などのシーズニング発想にするのも必策か。

正しく、低ナトリウム製品処方に対して、かつてと同じようなおいしさを得るには、新しい解決手段が必須だ。世界の食品素材産業は、これらの要求にかなうよう加工食品用素材新製品を開発している。

処方と風味の製品開発リーダーのグローバル大手香料会社(ジボダン・シミライズ・フィルメニッヒ社など)は、ナトリウム削減プログラムを促進。酵母エキスや乳酸なしのさまざまな素材は、製品開発における減塩に対して未発達だが、将来十分発達する可能性を有している。

例えば、ギャラクト社は昨今「プロミート・プラス」を上市。風味、テクスチャー、カラー、そして賞味期限を加味した乳酸をベースにした製品であり、加工肉製造で40%のナトリウム含量を削減する可能性を秘め、注目を集めている。

ピューラック社は、製品全般へ水分活性と持続安定した風味を抑制することによって効果的な食塩代替物を上市。この製品の機能について2つのオランダの会社(リサーチャー、TNO素材サプライヤーのバーセン-シューメーカー)は、製品の風味維持とともに肉製品の塩含量50%まで減らす働きがあることを発表した。

消費者の誤った概念や改定された処方への挑戦により、明確により低いナトリウム含量製品へのニーズを見極め、理解するために食品産業は、試されているのだろう。大手食品会社は、消費者が予期する風味を維持するとともに低塩調味料を作り、その素材部分は、食塩の削減を考えると、製品開発のため、より解決策が必要だろう。食品規制と製品開発担当者のプレッシャーは、素材産業の革新を助長する。来る年月で活動の関心領域である競争・競合、ハイレベルな開発に期待する。

塩のことわざは、世界にたくさんある。その中で印象に残るのが、「ヨーロッパにある“塩の豊かな人は、教養のある人”」だ。

レシピ開発に処方箋、世界のサイエンスバックグラウンドを知り、素材開発動向に注視したい。バランスダイエット、その本当の重要性を食品会社製品開発担当者は忘れてはならない。

 

「食糧=国防」日本でも重要視を

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ひとりのフードテクノロジスト、サイエンティストとして今回の東日本大震災への思いを込めて日本の食品産業界に問う。

消費者は、飽食の徒となり切った日本に暮らすと、ほんの少し前の姿を忘れてしまっているに違いない。単に、スーパーマーケットに行くと品物やアイテムが見当たらないから気がつくが、食品産業に身を置く人びとの厳しい体験、原材料不足、製造に必需物の不足などは一般に伝わらない。

食糧危機の言葉をよく耳にするが、日本は、食糧、特に非常時の加工食品の開発に注視してこなかったであろう。わが国には、食糧それは国防という“種の保存”をかけた“国家レベルの食品開発”の考えはなきに等しい。

国際社会、食を国防として捉え、根本コンセプトとして確かな食に関連した科学と技術エンジニアリングを駆使し、より長い賞味期限、容易に空からの投下がかない、栄養豊か、効果が優れているカロリーを含む食品開発が必要であるにも関わらずの昨今である。

被災者に、準備済みでおいしい非常食はないのだろうか。

地産地消も良いことであるが、有事にも耐え得る加工食品開発の本髄を見直すべきだ。加工食品製造用のエネルギー開発も電力不足による根本が揺らいた。

究極の食品開発であるレーション(軍事配給品)に、私の知己である人びとは、アメリカから持ち帰ったレーションのすごさに興味を抱いてくれた。しかしもうからないといった。豊かな食生活に朽ちない食品開発コンセプトを望むことはコスト高となるのか。食品開発のコンセプトの違いに賛同をもらえなかった。バブルを経て、本物のグローバル化は食品産業からであるはずだ。

今回の大震災でのつらい体験で、明確な加工食品開発のコンセプトを再考の時が来たと信じてやまない。食の開発の新しい時を目指す新製品が望まれている。

物資不足、インフラ問題、豊かなコンビニ主導の商品開発の産物は、被災地に日配として満足に届けられない。個別のパッケージマテリアルも不足している。

巨大地震によって、東北沿岸地域、千葉、鹿島地域を中心とした食品添加物メーカー・素材メーカーにかなりの被害が出て、供給不足となっている。一方では保存性の高い加工食品を製造する際、インフラの打撃により製造ができない、そして品不足が起きている。

品不足に見舞われているスーパーマーケットに行くと、ポピュラーでない製品に出合う。その上、流通による強いマーケティング力の結果、PB製品が増えている。

基本的な加工食品は、その流通銘柄によるブランドで販売される方が消費者は廉価で購入できるし、その流通母体にも利益メリットが生まれている。

この先の製品開発にどのように影響を与えることだろう。

 

食品供給、輸送はこれでいいのか!

FDAの食品アドバイザーパネルである友人に勧められ、昨春、アメリカ西海岸カリフォルニア・サンフランシスコから、パソロボまで約10時間、列車の旅をした。その速度の遅さに驚き、車窓から眺める景色はヨーロッパ人がたどり着き、石油、ゴールドラッシュと過ぎた歴史を思い起こさせた。見事な長さの車両、貨車輸送のすごさは、かかる時間とその効率を考えても納得するほどエコを重視している世界であった。

一方、アメリカのアーカンソーで高速道路4000kmを、この友人とともに旅をした時のことだ。広大な同国は、高速道路で重量オーバー制限を、速度違反より厳しく取り締まっていることを知った。

大きなコンテナトラックにいかにしてより多くのコカ・コーラ缶を積載するかは、輸送コストを軽減するためには必要不可欠なポイントだ。

日本のトラック輸送は平均して1コンテナ15tであり、多量に輸送するには、トラック台数を増やすしか手段はない。

いつの頃からか日本は、石油に頼るトラック輸送が発達し、冷凍・冷蔵トラックがコンビニの発達を促した。日用品、加工食品と便利さを謳歌するも、流通が製品開発の鍵を握るのは変だとも思える。食品メーカーもコンビニに並ぶ製品開発をすれば、巨大なボリュームとなりヒット製品になる。ともあれ、必然的に流通関係者が食品メーカーを左右するようになって久しい。

列車で、貨車を数珠つなぎにして運べば、何十台も一度に運ぶことができる。

わが国は、北は北海道、南は九州まで列車は走っているが、その貨車輸送網は減少の一途をたどり、半面世界有数の技術の新幹線が走っている。

今回の震災で、日本海側を貨車輸送で石油が運ばれるニュースを見た。旧日本軍がアジア諸国に線路を敷いたことが記憶によみがえる。諸外国事情は、まさに貨車輸送を見直しているし、相変わらず新しい建設が続いている。

グローバル化により、航空便、船便は格段の便利さが目立つ。しかし、欧米には依然として水上交通・運河による輸送など延々と続いている。欧米の運河は、食品産業の物資輸送の原点である。わが国も今一度、食糧供給輸送手段を見直すべきだ。

 

長期保存食開発に発想の転換が必要

10年近く前、9月11日テロの後、アメリカ軍の食品研究所を訪問した。食べ物に関する哲学は国々によって異なっている。戦闘食としてのコンセプトは、有事に際してのあらゆる可能性と燃料を補給する任務を負っている。長い経験と蓄積による究極の食品開発でもある。海に囲まれたわが国は、戦争と食物の大事な関係を軽んじてきたのではないだろうか。

第二次世界大戦下の日本の“欲しがりません、勝つまでは”という空腹を我慢しての精神論は、根本的な姿勢・コンセプトの違いを表している。

昨年、世界の人口増加へ向けて食糧増産が必須というアメリカでは、オバマ大統領自ら国民のため食を国防として捉え、着々と食品に関する法令の変更が実施されている。アメリカでは国民を飢えさせない、健康あっての食生活が基本と学んだ。

世界的な動向に際し、いくつかのセクションによる問題が込められていた。

(1)加工食品を製造するに当たり、その加工方法と食品安全と製品の品質と保存性について(2)将来へ備えて発達可能である解決策をどうするか。科学者、食品産業従事者、政策者とともにより健康的に人びとに食糧を供給する方法について(3)食べ物のシステムの中で科学と技術の応用が、今日の社会のニーズに合うために適した総量における食品の製造を認めることなどであった。

これらの内容は、今日フードシステムが複雑でありわれわれの食べ物が安全にグローバル化して輸送されつつある中へ問題が提起されている。かつて経験したことのないような風味豊か、豊かで大量、多種多用、簡便さ、廉価で容易に入手可能になっているはずだ。

アメリカ軍が21世紀に向けて、軍隊と人道博愛主義による戦時下供給給食(救援物資)を、ここ20年にわたり開発にいそしんでおり、絶えず、おいしく食ベるための努力が続けられている。戦時下であろうが、顧客の満足が大事だ。

昨夏、軍の研究所のダイレクターに久しぶりに会い、新しい開発品を知った。パンといえば、乾パンが一番長持ちするという幻想を変えての発想転換だ。

常温で3年保存可能なサンドイッチで、ユニバーサルで容易にオープンできる。コンパクトであり持ち運びに便利なこの製品は、既に市場に出回っている。(http://www.bridgeford.com/)おいしさを求め、パンが主食に基づいて中身のフィリングやパンの生地の開発はそれなりのノウハウが必需だが、わが国の食品会社でもできるに違いない。

融点調整を考慮したショートニング、保存料(安息香酸ナトリウム)や他の食品添加物など駆使した処方によるレシピ開発、確かな衛生管理された工程、そして包装技術と包装材料開発から何度も試行錯誤と応用開発から生まれたとか。

4つの層からなら包装材料(ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、クワド積層フィルム)は非常に強いバリアで微生物、化学物質など品質悪化から耐え得る。さらに、軍の研究所では継続した研究開発でこの包装材料の重量を減らすためホイルにする研究を継続していると聞いた。

わが国のコンビニでヒットの某Y社ランチパック、絶妙な開発センスでパン生地の端を傷つけることなくくっつけ、中身のフィリングのさまざまな風味を提供。その際の品質改善と風味向上に消費者が好まない臭素酸カリウムの科学的解明とともに進歩して製品となった。消費期限は発送日から2日なので、被災地に届けるには難しい。

アイデアと科学進歩をいかにセンス良く開発に導くかが次の開発への道となるであろう。食品科学を駆使することはアイデア豊富に、その調理科学と保存性とその能力に注視しなければならない。

軍の配給食はすぐに食べられる、そしておいしくが基本。その上に、ロジスティックは軽く、最大限の高い耐久性ある段ボールに詰めて過酷な条件下でも耐えられるようデザインされている。

PETボトルでは空から降下するのは難しいから、せいぜい数十本単位にしての持ち運びが精いっぱい。米軍の飲用水は、消費期限5年密封タイプの3層ラミネート、注ぎ口を考慮された使い捨てのしなやかなパウチであり、アイデアコンセプトと差異に起因している。わが国の包装技術は、その印刷技術とともに世界一ともいわれる。その背景にはサイエンスとエンジニアリングがある。

もうひとつ忘れられないのがアメリカ軍の火炎なしヒーターであり、1993年から利用されている。発熱化学反応により、たった29.6mlの水で非常食(レーションミール)が15分ほどで37.8度Cに温まる。日本は、この反応原理を利用した酒の燗(かん)製品を開発した実績を持っているはずだ。

原発問題による消費者の恐怖に、正しく情報を与えることとともに本物の食品の安全性に関してグローバル化が必須だ。

ただ単にケミカル名だけを見ただけで食品添加物は悪者扱いされ、無添加という響きに消費者は甘いのが常だ。表示に関する責任は、日本における法律を順守していれば食品メーカーの判断のもとによる。保存料無添加というと確実に安全であろうと解釈されてしまうほど、消費者が正しく評価判断するのは難しい。

法律のもとに正しく規制して、保存料を利用することは、加工食品における保存期間をより長くするという目的にかなう。しかし現実は、食品に表示する際に至って消費者にその原材料は理解できていないことが多い。

ところで今回は、さまざまな製造会社工場が被災した。食品製造に欠かせない食品添加物、グレードのシンプルで重要な食品添加物が不足し、多くの食品会社の資材調達部がそれらの不足と確保という難題を抱えた。一般消費者に知る由もなく、他の大きなトラブルなどでメディアは伝えない。食は国民を守るためのもの、国防であるという3つの概念である的確な判断基準は、わが国では明確にされていない。

国防は国民の健康、食生活の安全。国策は国際社会と比較してどのような問題を含んでいるのか。日本の法律、現行の食品衛生法、安全基本法はどうなのか。混沌(こんとん)とした中、食品安全性を確立しなければならない。

まず3つの大きな問題である人獣共通伝染病(狂牛病など)、食べ物由来の病気である食中毒、そして、まさに食品からの安全性が問われる。

食文化の差異は、国防と食べものを第一に、さらにエネルギー問題、そしていわゆる食糧問題に起因するが、今こそ、まさに安全性への深い理解の時が来たといえよう。

食品照射は、放射線を生物学的に利用して発芽防止、熟度調整、食品成分の改質、殺虫、殺菌など有効な技術として諸外国では知られている。わが国では、第二次世界大戦の不幸な歴史からそのアレルギー的な反応が大きい。今回の原子力発電事故の早い解決を切に望むが、完ぺきな意見と内容を理解していない感情が先に出る判断でなく、安全性に関するリスク評価をしてほしい。

かつてコバルト60照射施設の業界誌訪問記に理解しがたいクレームを受けたが、信じがたいサイエンスの欠如したコメントであった。

新鮮な野菜果物類へ照射すると、その消費期限が延長できる。食品照射への健全性を重視、その効果と必要線量が国際機関で検証が続けられている。特に香辛料の殺虫だ。日本は加工食品でトラブルを防ぐための殺菌などを目的としており照射を許可していない。

食品を輸入する際に、カロリーゼロのような響き、それらのスペックに完全にゼロが必要とされる。分析技術の進歩にあっても、許容される範囲があるはずだ。さまざまな検知技術の進歩と、その科学におけるバランスが重要だ。

海外の食品安全に関するコミッティーはバランス良く、産・官・学で構成されている。翻って、わが国の判断評価に現実を改善すべきだ。

われわれは何が原子力エネルギーか知っているのだろうか。今闘って原発にバケツリレーの幻想をぬぐい、一刻も早い終結を望み、新しいエネルギー世界へ希望を抱かせてほしい。食品産業にはエネルギーは欠かせない。

 

「エナジードリンク」はヒット予感の救世主か

昨今の飲料業界動向とその歴史

近い将来、グローバル化により飲料業界の再編がより進展していくであろう。5月のゴールデンウイーク前のこと、某大手新聞社の1面にアサヒ・カルピス買収、国内の清涼飲料メーカーの販売順位推計が記載された。

コーラ、お茶と目新しい飲み物を市場で見つけるには厳しく、アイデア不足に陥っているかの様相だ。

梅雨前、盛夏に向けて飲料業界が、今年最初の山場の製造を終えた頃を見計らって発表されたものだ。

わが国の市場には1万アイテム以上ものの清涼飲料があるといわれて久しい。毎年発売される飲料アイテムは、リニューアルやデザイン変更を含めて有に2000以上、そして翌年にはほぼ同じ数が消えていく。

飲料市場の大きな鍵を握るのは、消費電力量の低減を果たし、進化してきた省エネ自販機で、その所有台数のいかんで飲料メーカーの販売パワーが決まるといわれている。

飲料業界、わが国の食品衛生法では、“清涼飲料水”とは、乳酸菌飲料・乳、乳製品を除く酒成分1%容量未満の飲料と定義されている。しかし、現市場では、製品の一括表示の名称、品名、種類別名称などの表記以外にも義務化されている部分もあり、炭酸飲料、烏龍茶飲料など食品衛生法以外にもさまざまな法律や規定によって区分がある。

これに対し、ソフトドリンクは、アルコールの入っていない飲料全般のことであり、牛乳やヨーグルトは、ソフトドリンクの範ちゅうに入っている。

業界のグローバル化をどのように注視して、製品開発を進めたらよいか行先が見つからない。円高に海外へのシフトも拍車の体だ。

グローバルな食品規制には、表示の考え方・食品添加物などさまざまな諸外国との差異の貿易障壁が存在する。宅配レディーで有名な乳酸菌飲料は、海外ではソフトドリンク扱いというのもうなずける。消費者の購買意欲をキャッチするためトクホ製品も日本独自のものだ。

自販機は産業機器であるが、その歴史は古く、ルーツは紀元前とか。世界最古の自販機は、エジプトのサイエンティトヘロンの著書に記されている“聖水自販機”であり、コインを投入すると、その重みで水が出てくる装置であり、すでに紀元前215年ごろ寺院に設置されていたという。

当然、自販機の発展は産業革命後の英国であり、飲料、菓子、食品、チケット、たばこなどさまざまな自販機が実用化された。

日本での普及は、1962年アメリカの大手食品飲料メーカーが日本へ本格進出し、わが国の治安の良さで自販機を置いて格段に売り上げを伸ばした。67年には100円硬貨が改鋳になり、飲料メーカー屈指の開発アイテムである缶入りコーヒーが登場、後には1台でホット&コールド対応の自販機が開発された。今では自販機による飲料売上げは1年約2兆円の規模であり、飲料市場4兆円の半分であり、人口1人当たり3万円以上も消費している。

この自販機の保有台数が飲料業界の売上げと勢力図が影響しており、自販機に陳列されるパッケージデザイン、アイテムなど飲料業界の動向を容易に知ることができる。

 

飲料業界は成長分野

第2次世界大戦後の飢餓から、豊かさへ向けてばく進したわが国の飲料業界、炭酸飲料(サイダー、ラムネ)から果汁飲料、そして業界一のドル箱アイテム、コーラ飲料の原材料輸入が完全自由化された。フードサイエンスとともに、テクニカルな香料業界で基本に学ぶセイボリースパイスブレンドによる代表的な風味調味料がコーラフレーバーである。世界各国・地域ごとに好まれる多様なコーラフレーバーが開発され、風味とともに飲料会社のマーケティング戦略が必ずや話題になる。

同じ会社でも時代によって人々の嗜好も変化、各社のシェア争いが熾烈を極めている。不景気の飲食・レストランへのメニューや看板や広告宣伝戦略が自在に市場にあふれている。中華レストランの看板に、コーラのマークが目についた。他方、食品輸入自由化で、柑橘類と牛肉の輸入制限は、わが国の貿易不公正の象徴とされ、日米の農産物交渉のたびに集中的な攻撃を受けたことは記憶に新しい。

バブルが終わり、昨今と同様、厳しい円高となり、輸入果実・果汁の増大が国産果実の消費を浸食し、生産を圧迫。さまざまな農産物問題を含み、92年にはついにオレンジジュースが自由化された。

その昔、果汁不足もあって、粉末ジュースは水や湯に希釈して10倍のボリュームになるもので、消費者への異なったターゲットであった。甘味成分と香料と色素ブレンド、昨今の成分無調整ストレートジュースとは格段の違いだ。本物であり、健康志向、そして安全で安心感のある品質へ応え、非加熱ジャンルに入る加工技術でチルド充填システムなどで市場活性化を目指している。

世界の飲料動向、その大きな潮流と変化は、世界的な景気後退にもかかわらず、加工食品業界の14%を上回り、飲料業界は20%弱の成長分野である。

わが国は、ここ何年か茶系飲料やミネラルウオーターが市場を占め、飲料メーカーの製品開発アイデアの枯渇状態からの脱却が鍵となって久しい。

世間の甘い飲料は太るから飲みたくない。といっても、緑茶は急須を使い器を洗わなくてはいけないから手間がかかると敬遠する。本当のお茶の風味を忘れてしまっているかと思われるほどだ。

 

世界のエナジードリンクはアイデア豊富

そんな中、飲料の新製品戦略でエナジードリンクに、各社新製品開発で熱い視線が集中する。

世界のスポーツドリンク市場は、日本の飲料市場と同規模の約4兆円と推測され、年成長率3%。16年には5兆円、1兆3000億リットルが見込まれる。

飲料大国アメリカでも炭酸系飲料が停滞しつつある中で、エナジードリンク分野の製品だけが20%増加している。従来の栄養ドリンクとエナジードリンクの新しさは、まさにグローバル化の見本のような特記すべき成長市場となるかもしれない。もうコンビニにはエナジードリンクコーナーが立派に鎮座している。

エナジードリンクの世界共通定義は存在していない。従来の栄養ドリンクとの違いは、薬効など強調せず(薬事法による規制)、清涼飲料水用原材料による飲料であり、誰でも万国共通な革新的、最先端、クールなプレミアムドリンクであること。そしてオシャレ、ファッショナブルであり、刺激を得て活力がもらえる。

カフェイン、ガラナ、朝鮮ニンジン、イチョウの葉など風味の良いフレーバーを使い、「ハーバルトレンド」「低~」「無~」「自然で有機的」「バランスの取れたエネルギー放出」と、ターゲットである消費者の心をとらえて離さないアイデアが豊富だ。その理由は、食品(飲料業界)は国民を飢えさせないための国防であるからだ。

エナジードリンクの定義がないのは、食品規制は各国で決められ実施されるからだ。世界でも商習慣によるネーミングが大方を占めている。

栄養ドリンクは、栄養補給目的で販売されている飲料がコンセプトであり、日本では飲料が大きく次の3つに分類されている。「医薬品」「医薬部外品」「清涼飲料水」。何らかの健康維持効果など食品規制で効果、効能を表示するには薬事法によるその含有成分で制約を受ける。

日本市場でもアリナミン、オロナミンなど、代表的な滋養強壮エナジードリンク発想が含まれている飲料が販売されてきたが、購買層の年齢が高く、昨今の清涼飲料ジャンルで、日本初上陸のけん引役との勝負は難しく、まさに黒船到来であろう。

世界で最も知られているエナジードリンクは「レッドブル」で、その売上げは世界で約4000億円、市場占有率は50%。薬事法関連の食品規制で日本での成分や分量が異なっており、医薬部外品として許可が下りず、翻って炭酸飲料として流通チャネルに沿ってブランドを拡大した。

喫茶文化の“巨漢”であるスターバックスが、アメリカ8000億円といわれるエナジードリンクをターゲットに、果物フレーバーとコーヒー豆で新しい製品ライン「リフレッシャーズ」を3月に発売した。

レッドブルや、コカ・コーラ社の「バーン」、アサヒ飲料の「モンスター」などは、完全にターゲットである市場規模のスケールが大きく、市場成長を望むことができる。

飲料業界グローバル化、エナジードリンクの源泉は、戦闘しながら「栄養補給と水」が究極のコンセプトだ。安全な水を飲みたいと、現在も憂慮され続けている放射能汚染問題があり、世界からたくさんの水を輸入している。製品開発で勝つには、水と空気が2大キーワードだ。

清涼飲料水マーケットは、茶飲料以来、大ヒット製品がなくなって久しい。エナジードリンクは、清涼飲料業界アイデアの転換でのヒット予感の救世主となるのか。飽食の徒になった日本で何が人々のエネルギー補給になりうるのか。

空気を含んだ商品開発の例がホイップクリームのテクスチャー開発である。炭酸飲料の爽快さは「空気」を含んでいることを忘れないでほしい。新製品開発の一助に。

 

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