日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
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Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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論文・出版物

パリ ネオ・ビストロブームの新世代 惣菜産業の新製品開発の鍵握る

新たな料理風味の構築進む 一流シェフ・おいしさに徹した料理・廉価で提供

惣菜をはじめ究極の加工食品の風味を追い求めると、流行のパリ、ネオ・ビストロに行き着く。新製品開発の源泉である興味の醍醐味は、美食を追い求める国、フランスの最新事情を味わい知ることであろうか。

廉価でファッション性あふれる外食産業花盛りのファミリーレストランならいざ知らず、毎日高級寿司店、懐石料理などでのたしなみが今日、不自然でなくなってきた。ひと昔前までは料理屋、レストランへ行くことなど、晴れの日ともいうべき特例であった。その久しさは、貧しさとひもじさを知らない世代には、飽食の徒としてバブル期とともにグルメブームを迎え、さらに昨今のグローバル化とともに日本の食卓事情は、まさに欧米化してきた。

半面、自由に海外へ出て、実際にその食文化に触れ、味わいの体験もポピュラー化し、インターネットにはその体験記が多種多様な表現で発信されている。

とりわけ、花のパリ、食文化の豊かさが世界中の人々の心を引き付ける。フランスの食文化の伝統に着想を得て、昨今日本でも取り上げられる地産地消の代名詞、マルシェの食材、さすが農業国であることの証がパリの路上で繰り広げられている。

新進気鋭の料理人、シェフのつくり出す個性的なレシピは、風味のマジックショー、そして、さらに味わい深いワインが供される。一流のキャリアを有する実力派シェフによるフランス料理らしい料理、センスのある店づくり、リーズナブルなうれしい価格で代表されるネオ・ビストロブーム。そこに目標とする「ビストロ・シック」「ビストロ・ノミー」「ビストロ・ソワニエ」など、さまざまな新しさを感じる言葉が次々と登場している。

フランス食文化の長い伝統とともに、それらの高級レストランは、サービス、雰囲気、そして最も重要な美味な料理–の三つの要素を兼ね備えている。

不況といわれる日本でも、高級レストランは予約を入れることすら厳しいほど繁盛している。とはいえ、これらが、われわれの本当に求めている真実なのかはいささか不明である。食事だけで1人およそ400ユーロ、食前酒、ワインが入って600ユーロ。2人で1000ユーロ(約12万円)が相場と、高嶺の花と言わんがばかりの価格帯だ。

翻って、ビストロといえば、19世紀のパリの街角に登場した「味も悪くない。食べて満足、そして気楽な定食屋」が普通であり、当初はワインを提供する居酒屋、そして時がたつに従って料理の比重が高くなってきた。いわゆるB級グルメのカテゴリーを脱していない存在であった。

そしてここ数年、そうそうたる高級店で修業をした一流のシェフが、“おいしさ”に徹した料理を廉価で提供しているネオ・ビストロブームが進化し続けている。このブームは、料理のグローバル化であり、どの国のシェフも新しい調理器具・食品素材・テクニックを次々と導入している。伝統あるフレンチのシェフも直面する問題を見据えながら、新しいブームとともに料理風味を築きつつある。器もグローバル化し、日本料理の繊細さ、感性も海外へ浸透しつつある。

 

熱い視線浴びる「カスノワ」 豊富で斬新なメニュー・風味

パリで成功しているネオ・ビストロは、第一に料理の質が高く個性があり、プロフェッショナリズムに徹していて、食通の間では評判の店が増えつつあり、注目を浴びている。

中でも、特徴的なメニュー構成、風味づくりで、今熱い視線を浴びているのが、パリエッフェルタワー、万国博覧会会場のシャン・ド・マルス公園近くに、昨年晩秋に開店したビストロ「カスノワ(Le Cassenoix)」。オープンわずか数ヵ月で、すでに海外の多くのメディアにも取り上げられている。

ネオ・ビストロには、伝統的な料理に力を入れている店が多い。店構えも、どことなくクラシックであり、趣深い。「カスノワ」も古いスタイルでデザインされており、エレガントな古さと斬新さを兼ね備えたシックな黄色の壁で、黒板には日替わりメニュー。そしてデコレーションも郷愁をそそるような雰囲気で、店の名前であるクルミ割り人形とそれらのコレクションが目に留まる。

クラシック、そしてモダンが入り混じり、饗される皿から映る絵のような姿と、そのボリューム感とともに雰囲気を醸し出している。

シェフのピエール・オリビエ・ルノルマンド氏は、フランス・ロワール地方オルレアン出身で、パリのホテル専門学校を卒業後、ビストロブームの先導役のシェフたちと交流。そして、仕事をともに修業にいそしんだといい、現在34歳。

特筆すべきは、ビストロブームの火付け役といわれるビストロキングことシェフのイブ・カンデボルド氏が4つ星ホテル・クリヨンの総調理長から独立開店した著名ビストロ「レガレード(Regalade)」で、その後継者シェフのブルーノ・ドシェット氏とともに腕を磨いたことに始まる。「レガレード」は、ガストロノミーでもビストロでもない新しい業態を確立している。

独立のきっかけは自身のキッチンで仕事し、そして自分の風味をクリエイティブに表現、進化し続けるために店をオープンしたいと考えたこと。現代的な感性を込め、その中で自己主張をしている。

シェフの父は、デリカテッセン、ケータリングのオーナーであり、ハム・ソーセージ肉の国家最優秀職人章MOF(Meilleur Ouvrier de France)を持つアンドレ・ルノルマンド氏。同章の名誉は日本の人間国宝に相当するものといわれる。

「カスノワ」のメニューに供される最高級ハム・ソーセージは、無添加で昔ながらの手作り本物素材を調理した本格的な味だ。

アミューズブッシュ、サービスとしてのアペリティフは、高級店は個性と端正さを追求するが、ビストロでは、ぱっと見、珍しくないが、さりげなく空腹感を和らげ、うれしい料理メニューの導入である。手作りの自家製パテ豚ハーブ入りテリーヌとピクルス、そして田舎パンなど。ピクルスの中身はニンニクと唐辛子。いずれも、さっぱりした風味とのバランスが見事。

メニューはコースで32ユーロ、日本円で4000円弱。ワインも1本25ユーロ前後で、まさにリーズナブル。メニュータイトルは伝統的なフランス料理だが、その斬新さは質の良い食材、そしてベストな調理法でのガストロノミだ。メニューから料理が想像つかない、皿を眺めるだけで味が伝わり、口にすれば幸せな満足感を得られる。

アントレ(前菜)の特徴は、日本スタイルを取り入れ、ホタテ貝のカルパッチョ風(レモンとオリーブオイル、米酢でマリネ)と有機野菜。ほかにはエスカルゴ、フォアグラなど伝統メニューがフレッシュテイストに選択可能。質を下げずにおいしい料理を提供することにかけている。

そしてメーンディッシュは、さまざまな伝統的シチュー。日本風に炒めてから蒸し煮し、魚(スズキ)には、野菜をベーコンで炒めたものを添え、トッピングにはハーブで香りづけする。健康志向でライトカロリーな一皿やフランスの家庭料理の代表、ポトフのそしゃくした瞬間の肉の味わい、その風味とアロマのベクトルが発射され続けるメニューアイデアが豊富の一言に尽きる。

デザートは、ことのほか本場のセレクション。チーズあり、スイーツありと豊富。昨今トレンディーなチョコレートムース、スフレ、ライスプディングなど、古き中に新しき風味と提供の仕方の違いに、人を引きつける不思議なオーラとセンスを感じるであろう。焼き菓子は、正統派のフレンチ発祥マドレーヌが添えられている。

 

野菜と肉のバランス・炒めてからの蒸し煮、惣菜メニュー開発に必須 見逃せない若手シェフの挑戦

昨今の日本のデパートデリ惣菜は、ますます西欧化。水のきれいな日本におけるだし汁と、欧州の本場ミネラルをたっぷり含んだ硬水による調理との違いから生まれる味の複雑さ、おいしさを求めることは難しい。

風味づくりのマジックは新進気鋭のシェフのグローバルセンスと創造性、顧客を最も満足させる伝統の醸し出す風味、そして鍵である廉価であることは、顧客に大きな満足感を提供できるもの。

米国から持ち込まれた生食文化のサラダが謳歌(おうか)している惣菜大国日本だが、新しさを求めて、どのようにおいしくネオ・ビストロ風に本物アントレ一皿になりえるかに注目したい。伝統的フレンチは日本風でいう蒸し煮物法に近い。野菜と肉のバランス、炒めてからの蒸し煮は、惣菜の新しいメニュー作りに欠かせない。調理加工テクニックのコンセプトはフレンチ・ネオ・ビストロから学べるかもしれない。素材の質を落とせない炒め、煮込み料理の本髄は、おいしいフレンチキュイジーヌ。ネオ・ビストロブームの若手シェフの挑戦は新しいメニュー開発に必見であり、そのセンスとテイストをぜひ試していただきたい。

 

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