日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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論文・出版物

日本惣菜協会創立35周年特集:食文化研究所・久保村喜代子所長 2020年見据えたメニュー開発を

栄養バランスが大事

和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、イメージ先行とその本髄を知ることの複雑さを感じる。日本の食文化とその再生がどのように進行するかは不明だが、日本において、食の外部化率が4割となった今、その再生は惣菜にも託されることになるだろう。

有名料理人や料理研究家の自慢の和食は、日常の食卓に何の影響も与えてないといっても良い。匠の作る和食は非日常だからだ。一方で、“安全・安心”“地産地消”などの消費者の強い要望を実現する惣菜は、食卓に強い影響力を持ってきた。惣菜マーケティングの鍵は、食卓の主役としてのコンセプトをかなえることが大切だ。食卓準備の時間が短縮できて、“そのまま食べられる”“温めれば食べられる”“手作り感”“栄養バランス”など、まさに欲張りな消費者ニーズの拡大を背景に飛躍的な拡大を続けている。

惣菜に代表されるデパ地下の売場では、各社しのぎを削って同じ根源のアイデア、金太郎あめを連想するベジサラダメニューが繁盛している。日本全国、東西の食文化が異なっていてもサラダ嗜(し)好が勝算をもたらしている。私たちの食生活を支える惣菜産業の近未来に向けて、栄養バランスを考えた正しいダイエット惣菜をいかにして勝算をもたらすメニューとして開発したらいいのだろうか。日本は2020年の東京オリンピックを控え、食のグローバル化考察は必須だ。

広義に唱えると、人類の歴史上でわが国ほど短期間に食生活が変化した国はない。巨大な食品産業全体からの波動で、惣菜というニッチな分野の飛躍的な発展により、私たちの食生活から季節感、地方色が消え、国籍さえも不明なメニューになりつつあるかもしれない。半面、メニューアイデアはとてつもなく大きな広がりとともに豊かに開発がかなうエスニックテイストと和食魂は、大きなヒットチャンスへの挑戦となっている。

 

和食IT革命は“地球に優しい!”

メニュー開発に重要な“地球に優しい!”グローバルコンセプトと“和食IT革命”が怒涛のように押し寄せてきており、その恩恵を享受する和惣菜に変化が起き、おいしさも調理加工技術の進化とともにグレードアップしている。

戦後の日本の食生活は、欧米化そのものと言われて久しい。コンビニ躍進の勢いに押されてデパ地下の惣菜売場は、消費者の需要に応えるべく新製品開発で需要を取り込む戦略だが、テナント出店なのでさまざまな制約があり、その厳しさは想像に難くない。ハードも含めて惣菜メーカーの新しいメニュー開発の方向がどこに行くのかに注視しなければならない。

一つの成功事例が天ぷらである。おいしいと感ずる惣菜は、確かな原材料素材・適正なレシピ開発による調理加工、食するタイミングの合致が必要だ。食の保守性、さらに消費者が絶えず要求する新しさをかなえるには、さまざまな課題が生じてしまう。消費者の購買意欲とその心をとりこにする新製品開発に、コスト、健康ダイエット(特にカロリー軽減、減塩、減脂肪)だけを重視すると原材料・素材の種類や量が制限されてしまう。フレーバー(風味)マジック、味づくりの単なる足し算では不可能だ。大量調理による加熱不足や、製造時間の制限で適正なプロセスを経ることができないのだ。昨今、売れ筋の天ぷらアイテムが大きな存在になったのは、包装を開ければすぐに食することができる最終調理食品としておいしくなったからだ。さまざまな課題をクリアする素材、油、包材などのチームの結果だ。

 

和食の原点は“結構長持ちする”

戦前の日本人は、生のサラダを食さなかった。ゆでてから和風調味のたれや醤油を掛けたり、あえたりして食べた。和食の原点には、“結構長持ちする”がある。四季の変化に富みながらも、蒸し暑い酷暑を過ごしてきた。その中でも、生ものやシンプルクッキングの素材を保存していた。作り置きできるサラダ惣菜(冷蔵すれば一週間は軽くOKなど)は肉・野菜・魚の素材から醸し出されるエージング(熟成)されたマイルドな風味が常備惣菜として利用できる。当然、その原材料、特にしかるべく生鮮品管理も重要だが、レシピ開発でそれらの“中間加工素材”を利用した創造的メニューも考案のヒントだ。サラダメニューでは野菜をゆでる・焼く・揚げるなどのひと手間かけることで風味の増強や向上となり、その素材と野菜汁を活用したソース類は、メニューで応用が利く。

欧米化和食の良さは、保存にかかわる水分の行方が大事だ。惣菜メニュー開発にはCulinology(Culinary&Technology=調理技術・カリノロジー)コンセプトを駆使することだ。

水分は食品の保存中の腐敗や品質劣化させる原因である。さらに、サラダでは離水や水分分離に特別注視しなければならない。微生物が利用可能な水分は自由水と呼ばれ、食品成分と結びついている水分は利用できず、この割合を水分活性と呼ぶが、原材料の自由水をいかに減らすかがテクノロジーであり、商品開発の肝だ。

材料を乾燥したり、砂糖、塩などを多く利用することなどは古来からの加工技術であり、水分活性値を低下させても上手にフレーバリング(調味技術)を駆使するレシピ開発が大事だ。

1964年(昭和39年)の東京オリンピックのころ、懐かしいスタイルの惣菜屋さんが全盛期であり、店頭には、昼食・夕飯用の和惣菜が並んだ。当時、デパートは贈り物、高級食材の売場が中心で、まさか半世紀を経て、サラダや揚げ物、野菜、魚や肉などを売るとは、夢にも思わなかった。デパートの惣菜テイスト改善は、消費者の心を宝石のごとく奪う術でもある。

例えば、アメリカで品種開発されたサラダ用レタスは、なんとなくパサついているような、それでいてシャキシャキ感があり人気だ。伝統的な地方野菜や外来の新しい品種を駆使するのも一興だ。中華惣菜の具のバラエティーを思い出したら、まだまだ野菜は利用できる。

 

添加物の厳選利用で原材料値上げ回避

和惣菜は健康志向、結構長持ち(日持ちする)など、世界のムーブメントと波長が合っているので、世界に通ずる日も近いかもしれない。自然界の調和する生き方にも通ずる。オーガニックの概念や地産地消のコンセプトとも通ずる。とは言いながらも、家庭の調理と大量調理は異なり、大量調理による商品化には厳しいルールがある。

惣菜の賞味・消費期限は、パッケージごとに異なり、チルド製品になると消費期限は短い。最近の惣菜のロングライフ化の波を見ると、生鮮野菜や果物包装に代表されるMAP包装(保護ガス包装)や、冷凍惣菜が発展するだろう。消費期限の延長は、惣菜メーカーの経営にも優しく、食品残渣(さ)の減少となり、地球に優しい。

消費期限延長というと、食品添加物多使用と誤解する人が多い。しかし、原材料値上がりに対処する一つの鍵でもある。なぜに、消費者は、ケミカル名のついた添加物を悪者に思うのだろうか。惣菜開発の挑戦は、無添加という言葉に心を奪われ過ぎてはいまいか。手作りと大量調理の違いは、大量調理にはスケールアップする際においしさを保つノウハウがいる。キット素材によってバックヤードで最終調理工程を行って作りたてをアピールする小ロット生産スタイルはダウンサイジングで大量調理を実現し、この手法はさまざまな場面で利用できそうだ。

また、厳選された添加物利用は、おいしさ創造ノウハウとロングライフ化ノウハウを持ち合わせている。レンジ調理品に本格的な色や香りを付与できるフレーバー、例えばグリルやスモークフレーバー(燻液)、ノンアレルギー用畜肉改良剤(エンドウ豆タンパク)などを上手に利用すると効果てきめんの乳化剤(触感改良・歩留りアップ)となる。乳化剤やリン酸塩代替えの植物タンパク、惣菜用保水ミックスの食物繊維や香辛料抽出物などもある。わが国の食品添加物メーカーの惣菜開発へのサポートとアイデアの豊富さは世界有数であり、知っておいて損は無い。

和の素材、特に味噌、醤油、豆腐、納豆などの高い機能を持つ大豆加工品ファミリーは、発酵という日本の食文化が培ってきた。これらの素材は、和食の継承と同時に見直されてきている。例えば、すぐに水に膨潤、容易に調理加工できる高野豆腐は、これまでの使いにくさを払拭した。

ほかにも日本には世界に冠たる乾物素材がある。こうした素材を使用したヘルシーメニューはどうだろうか。パリのコンビニに並ぶキッシュも和風卵焼きでも良い。エスニックフレーバーと和の融合は、売れるメニューの原点になるだろう。

 

外国人から注目 和テイスト惣菜開発を

惣菜のスタイリッシュな包装による持ち帰りの変化は、和食器のバラエティーさとともに変遷をたどり、そのファッショナブルテイストは和の世界にも発信が始まっている。弁当箱(ランチボックス)が注目されているのはその一例だ。当然、惣菜の和食メニュー開発の表現場所ともなっている。

欧米社会のデリ惣菜は、ゴージャスだ。ファッション性豊かな姿に興味は尽きないが、欧米社会には、昔から高級食料品店があり、必ず名物にもなるグルメ惣菜が伝統ある食文化を踏襲し、確かな風味づくりと洗練されたスタイルで表現されている。

かつての日本のコンビニがアメリカを見て学び、取り入れた惣菜は独自に大きく変遷を遂げたが、和食文化のアイデアとヨーロッパ新進デリ惣菜に注目して融合を考えてみるのも良いだろう。

日本の米、白飯は、毎日食べても飽きないシンプルな味だ。和風惣菜開発ではダイエットを絵に書いたようにコメを利用して、欧米人に受けている。現に世界中に寿司ブームは拡散した。

寿司めしの基本は、寿司だねや具材の風味を壊さず、寿司の魅力を引き出すことだ。

外食チェーンの寿司メニューがそれを物語っている。いわゆる洋風惣菜といわれるローストビーフや、中華の具に加えて、欧米社会のオペラ(歌劇)から歌舞伎を連想するようなテイストを寿司だねに加味したなら、新しさが際立つはずだ。

海外では魚介類の生の寿司だねや具材は限定されている。世界に広がった寿司の魚は、マグロ、サケが最もポピュラーで、他のシーフードアイテムの生食は難しく、普及していない。

外国人にも喜ばれる和テイスト惣菜は案外、和洋折衷、そして中華・洋風惣菜から世界に通じるニュー本物和惣菜が生まれるだろう。稲荷ずしの生揚げに一工夫、一時流行ったおむすびに天ぷらなどシンプルな風味にトッピングの工夫でどれほどのバラエティーが生まれることだろう。外国人も新奇さにひかれるに違いない。現に、アフリカでは稲荷ずしのトッピングはいちごとキウイが人気という。

 

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