日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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論文・出版物

随想 レーションと食品加工, そして容器包装

レーションという言葉は,わが国ではなじみが薄いが,世界では正にポピュラーな言葉である。

 

2001年9月11日ニューヨークがテロに奇襲され,震撼となった。

IFTから発刊される月刊誌の内容は,このテロに対する科学的な特集と共に,いかなるテロに対しても揺ぎない信念で立ち向かう姿と共に,大事な食品の安全性問題とレーションが語られていた。

 

それから10年もの歳月。海に囲まれた日本は大震災に襲われ,戦時下のような炊き出しが度々メディアにより紹介された。

第二次世界大戦後の食糧不足を知っている人びとの記憶も薄れてきた頃に,大災害の非常時に沢山の人びとが食べ物のないヒモジサを体験された。

 

正に飽食の徒となりきった日本に暮らす消費者は,その昔の姿を忘れてしまっている。至るところにコンビニやスーパーがある。フレッシュな食べ物が入手できる事に慣れてしまっていた。

たった1日100万食のボリュームレベルが被災者に準備・供給するのに時間を要したのが現実である。

世界有数の技術力を有している新幹線が走っているが,貨車輸送など減少の一途を辿り,物資を届けるのに苦しむ事になってしまった。最も安価な輸送手段である鉄道や,高速道路等の交通網も遮断されてしまった。エネルギー節約の大事な食糧輸送手段を再び考えるべきだ。

 

レーションとは,食料,燃料などの一定配給量,定量。又は食糧,糧食と訳す。長年フードサイエンスエディターとして翻訳してきた私には理解し難さを体験,何が何でも知りたかった。一念発起して,学会本部経由,ペンタゴン(合衆国国防省)に直談判のお陰で1980年代以降,初めての民間人として通称Natick(軍食品研究所)を訪問する事ができた。専業主婦から加工食品産業へ,さらにその製品開発者の一人として自立の道のりの厳しさを越え,究極の加工食品開発コンセプトは,レーションにある事を学んだ。

 

アメリカ軍食品研究所へ訪問して驚愕であった。

訪問を機に,加工食品開発のサイエンスの極限を悟った。沢山のリサーチャーが追い求めている何かを私は学んだと思っている。

腹が減っては,戦いができない。わが国ではたとえ喰わずとも戦う。食べ物に関する哲学は国々によって異なっている。根本的にそのコンセプトに差異が存在している。活力がなければ戦う事も不可能だ。その歴史は,世界の食文化に匹敵するかもしれない。食べ物で長期保存の効くものは重視され,究極の保存食品開発は,レーションといっても過言ではない。古来からの兵隊食の多くは,普段の食事から長期保存を目的とした乾パンのような非常時を想定した物まで,近世に至って著しい変化を遂げてきた。

アメリカ軍は,各種産業の発達と缶詰や,レトルト,乾燥技術などの進化と共に,堅固な産学協同研究で世界一のレーション開発技術を維持しているといわれている。

 

昨年の大震災の体験から,明確な加工食品開発のコンセプトを再考すべき時が来たと信じてやまない。現に,コンビニエンスストアに立ち寄る度に,新しいパッケージの氾濫を見て久しいが,昨年の大震災を機に,アイデア豊富な食の製品開発で,より新鮮さを競う世界において,正により日持ちする容器包装に変化し続けているのに容易に気付く。国際会の中,食を国防として捉え,“食品と容器”には根本のコンセプトであるレーションに明確に関連した科学と技術エンジニアリグを駆使しなければならない。

より長い賞味期限,栄養豊かでその効果が優れているカロリーを含む食品開発が必要だ。

 

アメリカ軍食品研究所ディレクターのダーシュ氏に会う度に,新しい開発品を知る。食の満足感である美味しさを筆頭に,革新的な包装技術コンセプトは,ナノテクノロジーの応用・高バリアポリマー・透過性モデリング・自在な変形包装(シュリンクラップ)・多機能二次包装であり,トリトンシステムの押し出し機や,多層形態・貫入ブレンド・液滴形態と包材のブレンディング等といかにして保存状態を良くするか,そして調理科学と保存性向上に注視している。更に,新しい保存や殺菌技術などの新しい加工処理;ハイブリッドで最適な加工・高圧・電子レンジ殺菌・超臨界二酸化炭素保存へ向けて開発を継続している。

長期保存のパンといえばわが国では乾パンであるが,融点を調整したショートニング,保存料(安息香酸ナトリウム)や他の食品添加物を駆使したレシピーで,パン生地やフィリングを開発したコンパクトで持ち運びが容易な常温3年保存可能なサンドイッチは,ユニバーサルで容易に開封可能であり,ポリエステル・ナイロン・ポリオレフィン・クワド積層フィルムの4つの層で強いバリア性を有し,微生物,化学物質などによる品質悪化に耐えうる。

サバイバル用の缶詰は内側と外側両面にエナメルなどのコーティングで格段に錆びにくく,水分をフリーズドライ製法で最大98%除去し,窒素充填によって賞味期限が常温保存で25年のものもある。

更に,レーションのロジスティックは高い耐久性段ボールに表面コーティング,様々詰めて過酷な条件でも耐えられるようデザインされている。3層ラミネート製パウチに密封された飲用水は賞味期限5年で,ペットボトル入りより遥かに便利。

食品の品質を長期間維持するには,微生物の増殖の原因となる酸素や水分を遮断し,酸化を防ぎ保存性を高めなければならない。
軍隊用レーションの開発は,当初から製品デザインを学窓と産業界で開始,テクニカルパネルによる様々な状況にも耐えうる風味などの官能評価,軍隊とその製品を販売するベンダーで製品開発し,次に製品評価は実際にフィールドテスト,他のレーションと合致させ,産業界で生産される。

一方レーション開発は必需な設備とエネルギー技術開発であり,高度なフレームレスな燃焼技術やエチレン検出と制御,消毒液ジェネレーター,自己完結型ヒーター,キャップストーブ・ユニフォ―ムオーブンや,太陽光発電などを駆使し,それに合致した容器開発が必要である。

20年ほど前から利用されているフレームレスヒーターは,発熱反応原理による。元来,この反応原理を応用したお澗機能付きの缶酒は日本の会社で作られたが,さらに軍の研究によりレーションへ大きくスケールアップ,兵隊が戦地でより温かく美味しく食べる目的で実現応用された。

軍の研究所訪問で究極の加工食品はレーションであり,日本からの様々なアイデアと技術ソースが国力と国防概念の差異で利用され,試行錯誤,具体的なエンジニアリング技術と共に製品化されている事を知った。

 

一人のフードテクノロジスト・サイエンティストとして日本の食品産業界に問う。グルメ気取りの新鮮さが売り物の輸入食品や売れ残りで廃棄処分が多いフレッシュ惣菜が加工食品の根本ではない。

大震災を経験し,必要な加工食品の再考を願い,次世代により美味しい保存が効く“食品と容器”の開発を望んでやまない。

 

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