日本の食品市場を中心に食品や食品関連技術を専門としたアドバイザリーコンサルタント 久保村 喜代子

 
クボムラーナ

Kubomura Food Advisory Consultants Japan Food Innovation 久保村食文化研究所

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食品のグローバル化と新製品開発考(2)MAP包装技術で急増する輸入野菜

 

日本はかつてない高齢化社会を迎え、2020年には要介護高齢者が500万人にも達するといわれている。健康で長寿生活を過ごすためには、予防医学のコンセプトが大事である。

 

アメリカでは約50年にわたり、疫学を研究して実施している。

 

世界中に浸透中の和食ブームといわれて久しいが、アメリカでは国民が健やかに老いるための食生活の提案とともに、野菜の消費量はすでに日本を越えている。食を国防の一環として位置づけており、日本とは“健康の重要性”の認知が異なっている。

 

野菜のビタミン・ミネラルなどの栄養素は、栄養サプリメントの数十倍の効果があることが、疫学の研究者によって明らかになっている。特に野菜・果物は抗酸化力、免疫力、解毒作用など優れた作用を有している。

 

今、某大手コンビニの消費期限の迫ったおにぎりや弁当、生鮮食品などの値引き指定販売、いわゆる見切り販売が問題となっている。生鮮品や惣菜の廃棄は、食糧問題、地球環境問題、人口増加問題の視点から捉えると言語道断であることは世界の共通認識でもあり、損得より先に善悪を問うべきであることはいうまでもない。

 

食の長期保存実現のための世界の包装技術の進化と発展は、他産業の技術と比較すると、見事なほど遅々として進展していない。古代の狩猟生活から、1880年代にはポリマーやバイオポリマーの包装材料、1930年代は無菌充填、1940年代はマイクロウエーブ、1950年代はレトルトパウチやトレー、1960年代にはそれらのアクティブな動向と情報化、1970年代無菌バルク包装、1980年はガラスコーティング、1990年代には多層プラスティックと進化を遂げてきてはいる。

 

スーパーの生鮮野菜コーナーのカット野菜入りサラダセット、コンビニのサラダなど生食用の果物・野菜が目立つようになって久しい。これらの生食カット野菜は、1970年代後半にアメリカで開発された。2000年には一大産業に成長し、欧州英国やフランスでは1000億円規模を確保している。

 

当然、わが国もカット野菜などで1000億円程度の需要規模があると予測されている。従来のカット野菜は、簡便性、廃棄物の軽減、価格安定などのメリットもあるが、価格が割高、通常の野菜と比較して品質保持が難しかった。

 

しかし、数年前から大手コンビニなど小売で野菜の低温物流網が発達し、野菜の生産地から店舗まで最適な温度で流通されるようになった。アメリカで発達したコールドチェーンは、畑で収穫されたばかりの野菜を予冷、つまり、できるだけ速やかに適正保存温度まで一気に冷却するもので、各種野菜に整備されつつある。

 

特に、マップ(MAP=Modified Atmosphere Packaging)のさらなる利用で、正に黒船渡来以来といわれるほど生鮮野菜の輸入量が増加している。小売だけでなく、外食などフードサービス用の原料も日持ちのよいカット野菜の輸入という形に変革を遂げている。MAP包装とは、青果物は収穫後も呼吸を続け、栄養分が消耗され、成熟や老化が進んでしまうが、その呼吸量をできるだけ低く抑え、品質低下のスピードを遅らせる有効な手段である。野菜や果物などの呼吸は、温度条件と大気中のガス条件により大きく影響を受けるので、一般的に低温状態下で呼吸が抑制され、これらを利用して低温貯蔵輸送が行われている。MAP包装は、空気中の酸素や二酸化炭素などによっても影響を受けるので、「低酸素、高二酸化炭素」の状態にして呼吸を抑制する包装原理がコンセプトである。

 

包装内の空気に外気の酸素を取り入れて二酸化炭素の排出量をコントロールすることで鮮度を保つために、その包材は目に見えない小さな穴、通常30~100ミクロンのナノテクノロジーレベルの微孔から包装内の青果物は呼吸を続けて必要な酸素を取り入れ、二酸化炭素を逃がす。ミクロの穴と青果物自身が行う呼吸のバランスによって袋内を平衡状態に保ち、長く保存が可能である。

 

このMAP包装は食品科学、青果物に関する豊富なデータと各々の流通条件を加味して、工業用、小売用、業務用とをさまざまな形態で流通している。アメリカにおけるMAPコンセプトは、日本のスーパーマーケットで並ぶ新鮮カットサラダパックの消費期限3~4日に比較すると一目瞭然の状態。アメリカでは2週間が当然、1ヵ月でもOKのものがある。

 

自給率約40%のわが国は海外からの生鮮輸入攻勢をどう考えるのか。鮮度をどのように判断するのか。産地(畑)から鮮度コントロールする技術は、残念ながら日本は後進国である。

 

カットした後の菌数管理をどれくらいできるかが勝負となる。さらに、日本のデパ地下惣菜のサラダとは比較にならないほど賞味期限の長いサラダパックや野菜パックがアメリカでは普通である。生鮮の原材料コスト、畑での管理、作業員コストの差異、そして当然、世界でも名だたるエネルギーの高価格や、物流コストの高価格を乗り切るのは至難の業である。

 

皮をむく手間が不要な、スライスされた、栄養豊かなリンゴをスナックにいかが?–日本の消費者が求める厳しい品質と衛生は、国際社会の生鮮流通と大きなギャップがあり、それをカット野菜・果物が証明している。

 

 

(久保村食文化研究所・久保村喜代子)

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